「ころおもり(自重り)」と「ころみもり(自身守り)」がある。
・「ころおもり(自重り)」。「ろ」のR音は退行化した。「ころ(自)」は自然に、自(おの)ずから、そうなること。動態が自分から発し自分へ帰るような自足的状態になること(→「ころ(自)」の項)。「おもり(重り)」は「おも(重)」の動詞化。「ころおもり(自重り)」は、自然に重み(充実感)を生じる情況が進行すること。そうした状態になること。
「たたなづく青垣山こもれる大和しうるはし」(『古事記』歌謡31)。
「梅の花咲けるが中にふふめるは恋かこもれる(許母礼留)雪を待つとか」(万4283)。
「大将殿は、入道の宮(母:女三宮)の悩みたまひければ石山(寺)に籠もりたまひて…」(『源氏物語』)。
「愛情のこもった手紙」。
・「ころみもり(自身守り)」。「ろ」のR音は退行化した。「ころ(自)」は上記に同じ。「もり(守り)」の原意は、見ていること。「ころみもり(自身守り)→こもり」は、自分で自分を、他は見ず自分の身を、見る、見続ける、ような環境情況になること。
「松が枝の土に着くまで降る雪を見ずてや妹がこもり(許母里)居るらむ」(万4439:こんな見事な雪を見ずにあなたは家にこもっているのね(こちらへいらっしゃいな)のような歌)。
「法ヲ聞カヌヨリ以前(サキ)ハ、卵(カヒ)ニ囚(己モ)レルガ如シ。法ヲ聞クヨリ以後(ノチ)ハ、卵(カヒ)破(ワ)レテ出ヌルガ如シ」(『東大寺諷誦文稿』)。
「自分の世界に閉ぢこもる」。「(犯人が)一室にたてこもる」。