「きつわ(牙つ輪)」。「き(牙)」は「きば(牙)」。「つ」は助詞。「ときつかぜ(時つ風)」(時を得た風)などにある「つ」。「きつわ(牙つ輪)→きた」は、牙(きば)とある輪(わ)、牙(き)の性状状態にある輪(わ)、の意ですが、どういうことかというと、地球の北半球にいた場合(つまり、その自転軸を縦にして地球を横に半割した場合、その半割の、現在、日本列島がある側に居た場合)、星が巡行し、その巡行たる回転(輪(わ))の中心が感じられる方角がある。その中心は遥か彼方であり、その場合、自分がいる空間世界はその中心へ向かう円錐状に意識される。その円錐状が「き(牙)」であり、その遥か彼方へ向かう円錐状の回転印象を生じさせている方角が「きつわ(牙つ輪)→きた」(※)。すなわち「きた(北)」は、星の回転の中心方向。方角のひとつの名。

「北 …キタ ノガル サル ニグ  …ソムク」(『類聚名義抄』:「キタ」以外はすべて漢語の影響による読み)。

「隂 陰  …キタ …カゲ …カクル」(『類聚名義抄』:南は陽があたり明るく暖かく、北は日が当たらず暗く寒い印象があるということ)。

※ 日本列島がある側ではない他の一方の半球に居る場合、星の巡航回転の中心は「きた(北)」とは逆方向になる。逆方向を見るからです。

 

この語の語源に関しては、実にさまざまなことが言われはしますが、明瞭なものはないです。辞書における「きた(北)」という語の定義は、日の出る方向へ向かって左(ひだり)の方向、というもの。この定義が絶対かというと、そうでもない。なぜなら、「ひだり(左)」の定義、その語源、が曖昧だから。「ひだり(左)」は、正面を南に向けたときの東側にあたる側、と言われたりします。ということは、「きた(北)」は、日の出る方向へ向かって正面を南に向けたときの東側にあたる側の方向。意味がわかりますか?これ。