◎「かたしは(堅石)」

「かたしいは(形為岩)」。形(かた)をつくる岩、の意。これで鉄その他の金属を打ち、鍛え、望む形に整える。

「天の安河(やすのかは)の河上の天の堅石(かたしは)を取り、天の金山の鉄(まがね)を取りて、鍛人(かぬち)天津麻羅(あまつまら)を求(ま)ぎて、伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)に科(おほ)せて鏡を作らしめ」(『古事記』:要するに鉄を岩で打ち鍛えたということです)。

「天皇(すめらみこと)……日鷹吉士堅磐固安錢(ひたかのきしかたしはこあんぜん)を遣(まだ)して 堅磐 此(これをば)柯陀之波(かたしは)と云(い)ふ」(『日本書紀』:「堅磐固安錢(ひたかのきしかたしはこあんぜん)」は人名ですが、どう読むかは諸説あります)。

 

◎「かちは(堅磐)」

「かはちは(「彼は…」路葉)」。「ち(路)」は目的性のある進行を表現する。「は(葉)」は時間を意味する→「はは(母)」の項。「かはちは(「彼は…」路葉)→かちは」は、「彼は…」と彼方をめざし進む時間、遠い彼方の時間、であり、遠い彼方の時間とは永遠です。この語は一般に「かたいは(堅岩)」と解されています。同じような意味の語に「ときは(常盤)」「かきは(堅磐)」があります。

「皇御孫(すめみま)の命(みこと)の御世(みよ)を手長(たなが)の御世(みよ)と堅磐(かちは)に常磐(ときは)に齋ひまつり」(「祝詞」『祈年祭』(九条家本))。

◎「かきは(堅磐)」

「かあはきは(彼淡き葉)」。「は(葉)」は時間を意味する→「はは(母)」の項。「かあはきは(彼淡き葉)→かきは」とは、彼方が淡く茫漠とするような時間、であり、彼方が淡く茫漠とするような時間とは永遠です。同じような意味の語に「ときは(常盤)」「かちは(堅磐)」があります。

「『汝(いまし)天穂比命(あめのほひのみこと)は、天皇命(すめらみこと)の手長(たなが)の大御世を堅磐(かきは)に常磐(ときは)に齋(いは)ひまつり…』」(「祝詞」『出雲国造神賀詞』)。

 

漢字表記などから混乱しそうな三語をまとめてみました。