「こはか(子努果)」。「はか(努果)」は努力成果を意味します(→その項。「はかどり(捗り)」などの「はか(努果)」)。「こはか(子努果)→かか」は「こ(子)」たる努力成果。親たる「はか(努果)」から生まれる(た)成果、また、子たる「はか(努果)」を生み出す「はか(努果)」。努力成果から生み出される(た)意味・価値、そうした意味・価値を生み出す努力成果。たとえば、ある地へ行きしばらくそこで生活した場合、その地が気候その他健康によく、そこにいたことで健康になればその健康はそこへ行きそこにしばらくいたことの「かが」です。政府がなにごとかの政策をおこない、その政策により国民の生活が自然と豊かに快適になり国民が幸福になればそれはその政策の「かが」です。ちなみに、「かが」は漢字で「利」と書きますが、利息は「かが」とは表現されていないと思われます。利息がつくことは「いらへ」と言い、利息付きで貸すことは「いらし」と言い、利息は「うまはし」と言います。交換による儲(もう)けも意味していないように思われます。
「若(も)し国家(あめのした)に利(かが)あらしめ百姓(おほみたから)を寛(ゆたか)にする術(みち)有(あ)らば闕(みかど)に詣(まう)でて親(みづから)申(まう)せ」(『日本書紀』)。
「苟(いやし)くも民(たみ)に利(かが) 有(あ)らば、何ぞ聖(ひじり)りの造(わざ)に妨(たが)はむ」(『日本書紀』)。
「久しく留(とどま)りて利(カカ)無(な)し」(『大唐西域記』)。
「小次郎殿と申す人心かがなる人にて渡り候…」(「謡曲」『宍戸』:することが効果的な人ということでしょう)。
※ この「かが(利))」の項のあたりに「かか(母・嬶)」の項があるのですが、それは「おかあさん(お母さん)」の項で触れたので書きません。可能な限り同じことは繰り返さないよう心がけています。