◎「か(日)」
「かひ(交ひ)」の「ひ」の脱落。これは「ふつか(二日)」「みっか(三日)」などという場合の「か」ですが、「か」(交ひ)が、(生活場面から見た)自分の周囲を回転するような太陽の動きの印象にも影響されつつ(世界の明と暗が交差的に現れ)、生活の時間的単位の交差的変動を表現した。「ついたち(一日):つきたち(月立ち)」を「か」で表現しないのは月の交(か)ひとの混同が起こるから。
「かがなべて(日日並べて) 夜(よ)には九夜(ここのよ) 日(ひ)にはとをか(十日)を」(『古事記』歌謡27)。
「ももかしも(百日しも)行(ゆ)かぬ松浦路(まつらぢ)今日行きて…」(万870)。
◎「か」
「きは(際)」の一音化。限界的であることを表現する。「か細い」「か弱い」「か青」「か黒き髪」といった表現がある。
「例ならひにければ、かやすく構へたりけれど、徒歩より歩み堪(あ)へがたくて…」(『源氏物語』:慣れたことで、安易な思いでいたが、徒歩で行くことにはそれを維持することは困難で…)。