◎「うべ(宜)」
「うむみへ(「うむ」三重)」。「うむ」は応諾・納得を表現する発声。その「うむ」が三つ重なるほど納得できるという表現。「むべ(宜)」にもなります(→「むべなるかな・うべなるかな」(もっともだ))。「逢はず久しみうべ恋ひにけり」(万310)。「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ」 (『古今集』)。
この「うべ・むべ」が二音重なった「うべうべし・むべむべし」というシク活用形容詞もあります。この「うべうべし・むべむべし」は、「うべ・むべ」が一般化されていることに押しつけがましさやうとましさを感じているような表現であり、格式張っている、堅苦しい、もっともらしい、というような、あまり好感は抱いていない表現が多い(ただしこれは表現する人の個性が反映されます。たとえば女性には多く敬遠されるがそれを重んじる男もいるとか)。「消息文にも仮名(かんな)といふものを書きまぜず、むべむべしく言ひまはし侍るに…」(『源氏物語』)。
◎「うべし」
「うべ(宜)」(→「うべ(宜)」の項)に副助詞とも言われる助詞の「し」(→「し(助)」の項)のついたもの。宜(うべ)と言わざるを得ない(まったく宜(うべ)だ)のような意。「うべしかも 蘇我の子らを 大君(おほきみ)の 使はすらしき」 (『日本書紀』歌謡103)。
◎「うへ(筌)」
「うへ(鵜器)」。「へ(器)」は容器を意味する。鵜(う)のような容器とは何かというと、魚を飲み込みまた吐き出すその首のような容器。これは竹で編んだ、筒状の(ほぼ円形のものもありますが)、魚を取る道具を言います。