「うはセワ(上世話)」。「わ」の子音は退行化した。「セワ(世話)」は、世(よ)の話(はなし)、ということであり、基本的な意味は、世の中で起こっている言語活動やその内容なのですが、さまざまな意味発展があります(たとえば「世話をする」のような)。ここでは、世の中で言われていること、の意。「うはごと(譫言)」は実態が感じられない、表面だけの言語表現ですが、「うはセワ(上世話)→うはさ」も、表面に現れている、しかし実態をともなっているか曖昧な、その点に確信性のない、世の中で言われていること、ということ。
「双林寺の林間に僧どもの語るを聞けばこなたのうはさぞ」(『中華若木詩抄』)。