◎「うつら(明・朧)」の語源
「うつら(現ら)」。「うつ(現)」は現実的な明瞭感を表現し「ら」は何らかの情況にあることを表現します。つまり「うつら」は現実的な明瞭な情況であることを表現する。「うつらうつら見まくの欲しき君にもあるかも」(万4449:明瞭にはっきりと、現実にありありと、見たい君)。
この「うつ」も、「うつつ(現)」のように、「うつ(空)」の影響を受け、なかば眠ったような「うつらうつら」は、なかば夢の中のような状態を表現します(「うつつ(現)」の項参照」)。「今は昔、瓢太郎博奕(バクち)に惚(ほう)けて、物も喰はず、うつらうつらと寝もせず起きもせず…」(「仮名草子」)。
◎「うづら(鶉)」の語源
「うつりあや(移り文)」。体表に次々と移動していく文(あや)のような斑紋模様があることによる名。鳥の一種の名。
◎「うつろ(虚)」の語源
「うちうろ(内うろ)」。「うろ」は空虚感を感じる情況のもの。内側にそうした空虚感を感じるもの、こと、たとえば朽ちたような古木の穴、を表現します。空虚を感じる動態や身体情況なども言う→「うつろな目」(生気が感じられない目)。