◎「うずめ(宇受賣・鈿女)」

「うせうゐめ(失せ憂居女)」。「せうゐ」が「そゐ」のような音を経つつ「ず」になっています。「うせうゐめ(失せ憂居女)→うずめ」は、「う(憂)」の状態が失せているあり方の女、の意。世の中の憂きことなど感じさせない女。これは神格化され神名は「あめのうずめのみこと(天宇受賣命)・あまのうずめのみこと(天鈿女命)」といいます。天照大神の岩屋戸への「さしこもり」の際、踊りのようなことを行い岩屋戸を開いたといいます。また、天孫降臨の際にも同行し降臨しています。

 

◎「うずゐ(端座)」

「うちすうるゐ(打ち据うる居)」。「すうる(据うる)」の「る」は退行化し「ちすう」が「ず」になっています。「うち(打ち)」は、「うちいで(うち出で)」その他のように、動態の現実感を表現します→「うち(打ち)」の項。「うちすうるゐ(打ち据うる居)うずゐ」すなわち、現実感をもって、現実的存在感が強調され、何かを据(す)ゑたようになっている居(ゐ:存在のあり)、とは、まるでそこに根づいたようにそこにいる、ということであり、そんな印象で胡坐(あぐら)をかくなり、正座をするなどしてそこにいることを意味します。これは、傲慢、というような意味でも用いられます。「端座(うすゐ)に琴を横(よこたへ)れば涕(なんだ・なみだ)と血と襟(ころものくび)に流る」(『遊仙窟』貞和(1345-50年)・嘉慶(1387-89年)点)。

 

※ 「うずめ(宇受賣・鈿女)」と「うずゐ(端座)」が取り上げられていることには深い意味はありません。ここでは基本的に五十音順に語が取り上げられており、どちらも短文なので二つになっているだけです。