「うせ・ゐ(失せ・居)→うす」が(潮の)引き・満ち(つまり、潮の満ち引き)。その「うす」を為(し)ている潮(しほ)が「うすししほ(満引為潮)→うしほ」。つまり「うしほ(潮)」は満ち引きしている潮(しほ:「しほ(潮・塩)」は基本的に海水を意味します。調味料を意味する「しほ」はそこからの派生意)。「うすししほ(満引為潮)→うしほ」は、活動している潮、生きている潮、のような意。ただし、「うしほ」は潮の満ち引きや海水を意味しますが、潮の満ち引きを表現する「うす」という言葉は資料にはありません。「水門(みなと)の潮(うしほ)の下(くだ)り海(うな)くだり後(うし)ろも暗(くれ)に…」(『万葉集』歌謡120:これは海流を言っています。これは紀の国への行幸途上、老いた斉明天皇が幼くして亡くなった建王(たけるのみこ)を思っている歌)。「しほがまにうしほ汲み入れ」(『宇津保物語』:これは海水を言っている)。「広く盬(うしほ)を指(さ)して詛(とご)ふ」(『日本書紀』:この「うしほ」は塩(しほ)ですが、広く塩を指して呪いをかける、とは、全般的にさまざまなところで(さまざまなところの海水から)産される塩に呪いをかけたらしい)。