「うごをなひ(動を綯ひ)」。「うご(動)」は「うごき(動き)」の語幹になっているそれ→「うごき(動き)」の項(4月28日・昨日)。これは、現状から常に遊離しようとしているような動態を表現し、擬態としても扱われます。「なひ(綯ひ)」は、整然たる一つにまとめ、のような意であり、「うごをなひ(動を綯ひ)→うごなひ」すなわち、現状から常に遊離しようとしているような動態を整然たる一つにまとめ、とは、ひとつひとつが自由運動している無数の単位が整然たる一つの動態になる、ある空間域でそうなったりもする(つまり、そこに集まり全体が整然たる動態になる)、ということです。つまり、「あつまり(集まり)」のような意ですが、複数の個体がその相互の距離を縮め、ある場合は接触し、全体的にある点へ集中するという意味ではなく、単位たるあらゆる個の動態と全体たる群れの動態に和(あ)へがある動態になる。この「うごなひ」に尊敬の助動詞「れ(る)」がつくと「うごなはれ」。さらに「へり(謙り)」の連体形がつき神への謙(へりくだ)りが表現されると「うごなはれへる→うごなはれる」になる。「うごなはれる神主(かむぬし)祝部(はふり)ら……」といった表現がなされる。「祝詞(祈年祭)」にある表現。「うごなはり」という表現は「うごなひあり(集ひ在り)」。「集(うごなは)り侍(はべ)る卿等(まへつきみたち)臣(おみ)連(むらじ)……」(『日本書紀』)。