「う」の音(オン)の語意分類としては次のようなものがあります。

目標感のある「お」に遊離した動態感(下記※)が生じ動的遊離感を表現する「う」「うき(浮き)」「うみ(生み)」「うり(売り)」「うへ(上)」「うら(裏)」。

空虚感を表現する「あ」(「あえ(落え・熟え)」の項)がU音化し遊離した動態感が生じている「う」「うげ(穿げ)」「うせ(失せ)」「うみ(倦み)」「うれ(熟れ)」「うゑ(飢ゑ)」「うし(憂し)」。

「ゐ(居)」のU音化「う(居)」「うめ(埋め)」「うゑ(植ゑ)」「うち(内):(うち「居打ち」)」。

また、動詞の活用語尾では、「う」、というよりもその子音を問わないU音、は遊離感のある動態感を表現します。U音の遊離感のある動態感とは、音には動態の独律した存在感があるということ。動態として遊離して客観化したまま動態感が維持される、ということ。ヘーゲル的な言い方をすれば、即自的な(動態たる)I音と対自的な(動態たる)E音が融合しているような動態(下記※)。

 

U音の遊離した動態感とは、たとえば動詞の活用語尾がU音化している場合(つまり動詞終止形「有る」や「行く」)、その場合、動態が、自動でも他動でもなく、中立的な、遊離感のある独律世界にあるような、動態が遊離感のある独律世界で動いているような、状態になること。たとえば「裂き」(他動)も「裂け」(自動)もどちらも終止形は「さく(裂く)」。「木を裂く」「木が裂く」。「向き」は自動、「向け」は他動。「気が向く」「気を向く」。U音の遊離した動態感とはそういうことです。