◎「いまだ(未だ)」の語源
「いまははあだ(『今は…』は徒)」。「今は…」と何かを期待するその経験経過がむなしく、徒労であり、なんの成果もないこと。期待がむなしいこと。予想・期待することには、何かが起こること、と、起こっていることが終わること、があり得ます。「太刀が緒(を)もいまだ解かず」(『古事記』歌謡2:起こることの期待。これは「いまだ」の後が否定表現になります。例文の例では、『今は…』は徒(あだ)で解いていない(解くことが起こっていない))。「月よめばいまだ冬なり」(万4492:これは起こっていることが終わる期待)。
◎「いまだし(未だし)」(形容詞シク活用)の語源
「いまだはし(未だ橋)」の形容詞化。「はし(橋)」は、AからBへの途上、の意。つまり、「いまだはし(未だ橋)」は、いまだ途上(対岸にたどりついていない)、の意。物事が未完成であったり機が熟していなかったりします。「母にいまだしきに言ふな」(『源氏物語』:機が熟していないのに言うな)。「実教もいまだしかりしかど、歌の会に入り…」(『梁塵秘抄』:まだ未熟だが)。