「いまいみあらあらし(今忌み荒荒し)」。「あらあらし」が「あーし」のように省略されています。今、忌みになり動揺・惑乱した無秩序感があり安定した落ち着いた心情状態ではなくなっていることを表現します。

「(娘が死んだという)ゆゆしき身にはべれば、かくておはしますもいまいましう…」(『源氏物語』)。

「式部の大夫道成が妻(め)、にはかになくなりて……ものの始めに、かくいまいましき事を嘆き侍る」(『狭衣物語』)。

この語は、不吉な煩(わずら)わしいものが身にまつわりつくような、心が苛立ったり動揺したりする心情を広く表現するようになります。

「年の始めの走り者を生(いけ)て不食(くは)」ざらむは忌々(いまいま)しき事也」(『今昔物語』:残念だ、心残りだ)。

「あないまいまし。打手の大将軍の矢ひとつだにも射ずして逃げのぼり給ふうたてしさよ」(『平家物語』)。

「いまいましい奴めと腹立たしげにいひて」(『たけくらべ』樋口一葉)。