「あゆよみ(足ゆ読み)」。「よ」は脱落しました。「あ」は、「あがき(足掻き)」のように、この一音で「あし(足)」を表現しています。「ゆ」は手段・方法その他を表現する助詞→『音語源』「ゆ(助)」の項参照。ここでは手段・方法を表現します。「あゆよみ(足ゆ読み)→あゆみ」は、足で読むこと。足を手段・方法として読むこと。「よみ(読み)」はここでは数を数えることを意味します。歩幅で地の長さ(距離)を計ったことに由来する動詞。つまり理性的にコントロールされている足による進み・歩行進行です。「あるき(歩き)」との違いは歩行がこの理性的コントロール下にあるかないかです。方言には「あよみ」もあります。この動詞から生じた「あゆび(歩び)」「あよび(歩び)」という動詞もあります。

「遠くありて雲居に見ゆる妹が家に早くいたらむあゆめ黒駒」(万1271:妹が家をめざせ、ということです)。