「あえやはめ(熟え柔女)」。柔らかに成熟しこぼれ落ちるような、花びらの、そしてそれを女にたとえた、印象による名。植物の一種の名。端午の節句に、その葉が酷似し、その葉を湯(風呂)に入れたりする「菖蒲(シャウブ)」とは別種の植物ですが、歴史的にも混乱しています(もっとも、「菖蒲」は「あやめぐさ」と言われたりしました。逆に、「あやめ」は「はなしょうぶ(花菖蒲)」とも言われ、この「花菖蒲」にはさまざまな園芸・観賞用改良種があります。また「花菖蒲」に関しては、今はヨーロッパからも観賞用に似た花が入り、これが沼地近くに咲いたりもしています。黄色いアヤメのような花はすべてそれだと思って間違いないです)。今は「あやめ」の正式名称は「はなあやめ」らしい。

技巧ある模様の印象点、特徴的(見分けられる・分別のつく)印象点を言う「あやめ(文目)」という言葉もあります。「つくづくと見れば、桜色のあやめもそれと見分きつつ」。「あやめも知らぬ恋もするかな」。

また、機織りで技巧的な模様を織りなす技術をもった女を意味する「あやめ(文女)」という言葉もありました。これは「あやはとり→あやはたおり(文機織り)」とも言います(事実上女)。中国から渡って来たそういた女もあり、それは「漢女」とも書かれ「あやめ」と読まれもし。中国からの女は「くれはとり→くれはたおり(呉機織り)」とも言います(事実上女)。「くれ(呉)」の語源は『音語源』のその項。