「あまはせついきかひ(天馳せつ行き交ひ)」。「いき(行き)」は「ゆき(行き)」の可能性もあります。動詞「はせ(馳せ)」は、はやい速度で移動することを意味しますが、自動表現も他動表現もあります。たぶん自動表現の方が古いでしょう(他動表現は馬に乗るようになってからのものかもしれません)。「あまはせついきかひ(天馳せつ行き交ひ)→あまはせづかひ」は、 (言葉が)天を行き交って、の意。『古事記』の歌(2・3)にある表現。「いしたふやあまはせづかひ(伊斯多布夜阿麻波勢豆加比)」という言い方がなされます。「いしたふや」は、「いひしとあふや(言いしと合うや)」。言ったことと合うだろうか、言っていることを正しく伝えているだろうか、の意。「いしたふや あまはせづかひ」という表現が、私の思いは正しく伝わっているだろうか、私の思いは伝わるだろうか、という表現になります。