「あまとああ(天とああ)」。「ああ」は感嘆発声。天ほどだ…という表現。程度のはなはだしさ、それが物的量や数であれば量や数のはなはだしい多さ、さらにはそうした情況にあるもの・こと、を表現します。「人目多み(人目が多いので)袖振らずしてあまた悔しも」(万3184:とても悔しい)。「あまたは寝ずにただ一夜(ひとよ)のみ」(『日本書紀』歌謡66:これは、一回だけやろうぜ、という意味ではありません。(皇后が怖いので)気が進まないこともあるかもしれないが、一夜だけでも、という意味です)。「あまたすべなき」(程度激しく(まったく思いあたらないほど)すべがない)。「伽藍の北の嶺の上にあまたの石室有り」(数多くの石室がある)。「あはれてふことを(あはれということを)あまたにやらじとや」(『古今集』:多くの(ありきたりの普通の)人にはやらないということか)。