「あてうらあへ(当て裏和へ)」。「てう」の音が「と」になっています。「あて(当て)」は期待や思惑(→『音語源』「あて(当て)」の項)。「うら(裏)」は、心の内、内心、の意です。これは21世紀では「うら・おもて(裏・表)」の「うら」ですが、古くは、心の内、や、内心、といった意味です(→『音語源』「うら(裏・心)」の項)。「あてうらあへ(当て裏和へ)→あとらへ」は、「あて(当て:期待)」を「うら(心)」に「あへ(合へ:一体化させ)」、期待充足を内心に一体化させ、人に期待充足通りに思わせ、の意。意味も音も似た言葉に「あつらへ(誂へ)」があります。「あとらへてのたまはく、『我が為に皇子を殺しまつれ…』とのたまふ」。