一は、「アンドウ(案動)」。考えのある動き、ということですが、受け答え、のような意味の言葉。内部で知的活動や思いが働いていると思われる外部に対する反応的動きです。そうした反応を現すことを「あどをうつ(打つ)」と言います。「殿のめづらしう興ありげにおぼしてあどをよくうたせたまふ」。
他の一は、古代東国の方言に「あど」があります。これは「なにと・なんと(何と)」が「など」になった子音N音の退化。江戸時代の関東の方言に「なに(何)」を意味する「あに」があります(「あにもしらずに」(何も知らずに))。「高麗錦(こまにしき)紐解き放(さ)けて寝(ぬ)るが上(へ)にあど爲(せ)ろとかもあやに愛(かな)しき」(万3465:あど爲(せ)ろとかも→何(なに)と(どう)せよというんだ:「とかも」の「も」は感嘆。)。