「あたへかひ(与へ支ひ)」。「かひ(支ひ)」は主動的に、環境にある何かに対し交感を生じさせる努力を進行させることを表現します(→『音語源』「かひ(支ひ)」の項)。「あたへかひ(与へ支ひ)→あてがひ」は基本的には何かを与えることなのですが、そこでは与える主体と与えられる主体の相互の交流感(社会的な関係であれ何であれ)が維持されています。「枇杷殿には、うちの御有様のおぼつかなさをさへ苦しうおぼさる。宮の御装束、女房の事などしげう(頻繁に、常に)おぼし(御思いになり)あてがう」、「汝にあてがはれざる事にかかはる事なかれ」、「宛てがひ扶持(ブチ)」(通常は、受ける側の要求に関係なく与える側の自由な条件で与えることを言う)。