「あてつさ(当てつさ)」の音変化。「あて(当て)」は何かを期待する動態にあることを表現します(→『音語源』「あて(当て)」の項」)。「つ」は動態の同動を表現します助動詞(→『音語源』「つ(助動)」の項)。「さ」は、S音の動感とA音の情況感により情況的に何かを指し示す「さ」があります(→『音語源』「さ」の項)。「あてつさ(当てつさ)」は、期待しつつ、それ→期待しつつそうなるもの、期待した通りになるもの、という表現。どういうことかというと、これはある種の植物(樹木)の名ですが、この木は弾性が強く、これを材として弓を作り矢を射ると狙い通りよく当たる。
古代において「あづさ」と呼ばれた樹木が後世のどれにあたるのかに関しては多少議論がありますが、のちの「みずめ」や「よぐそみねばり」と言われる樹木がそれだろうということがほぼ定説化しています(ただし、幾種類かあったとしても不自然ではありません)。
また、版木に使われた「梓(シ)」は別の樹木ですが、「梓」を「あずさ」と読むことから出版することを「あずさ(梓)に鏤(ちりば)む」や「ジャウシ(上梓)」と言ったりもします。
※『音語源』のあるサイト http://kaitahito.world.coocan.jp/
購読自由です。
AD