「あていけかひ(当て生け交ひ)」。「てい」が「つ」になり「け」は消音化しています。「あて(当て)」は期待したり何かの思惑を抱いたりしている動態にあること(→「あて(当て)」の項)。「いけ(生け)」は「いき(生き)」の他動表現。意味は生かすこと。この「いけ(生け)」は「いけ(池)」にもなります。池(いけ)は水生動植物を生かしておく施設(もともとは食用のために)。「かひ(交ひ)」は交感・交流を生じること。この「かひ」は「買ひ」にもなりますが、ここでは貨幣と交換するわけではなく、「恨みをかふ」などのそれのように交流し関係に入ることです。「あていけかひ(当て生け交ひ)」は、何かをそれへの期待や『こうではないか』という思惑(あて)を生かしつつ(いけ)、何かと交換関係を生じ、交流する(かふ)こと。「子をあつかふ」(子の面倒をみたり相手をしたりする)。「この機械はあつかひがむづかしい」。事(こと)をあつかふことは噂として取りざたしたり、和解や調停や示談に努力することも意味します。「人々も思ひの外なることとあつかひ」(噂し)。「急ぎあつかひを入れて和談し」。

「あて(当て)」だけで「あつかひ(扱ひ)」を表現した例もあります。「幼少より、兄弟子の太夫達に、つらくあてられたことなく」。