「あつかひあし(扱ひ悪し)」。「ひあ」が「は」になっているわけです。「あつかひあし(扱ひ悪し)」は、対応・待遇が悪い、や、(機械などの)操作を誤っている、という意味ではありません。ここで「あつかひ(扱ひ)」という言葉に含まれる「あて(当て)」は期待や思惑です(→※『音語源』「あつかひ(扱ひ)」「あて(当て)」の項)。すなわちここで「扱ひ悪し」とは、誤ったり、不適切だったりする期待や思惑をもって対応・交流すること。自分が何かを言ったり思ったりし、そう思いつつ表現すれば、そんなことを思ったり言ったりする立場ではないが、のような意味になります。「『……』と、人知れずあつかはしう覚え侍れば」。自分がそうした対応・交流を受ける立場になると、対応がうとましいと感じる、対応に苦労する、難渋する、といった意味になります。「薄物の単衣(ひとへ)を着給ひて臥(ふ)し給へるさま、あつかはしくは見えず」、「あつかはしき五月雨の髪の乱るる…」、「能(よ)く一切の欝蒸(あつかはしき)悩みを除く」。

 

※『音語源』のあるサイト http://kaitahito.world.coocan.jp/

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