「あれとたり(有れと足り)」。「れと」は消音化しました。「あれ(有れ)」は動詞「あり(有り)」の已然形。あるが…あるはずだが…という漠然とした表現です。「たり(足り)」は連用形名詞化。その漠然とした確認に足りていることが「あたり(辺)」。確認されるのはもの(たとえば家)であることもあれば、こと・動態や情況、その動態や情況にある人などであることもあります。「家のあたり見ゆ」「おのづから聞きもらすあたりもあれば」(自然、聞きもらす人もいるので。聞きもらすこともあるので、の意味にもなります)。空間や状況に関しては後には「ヘン (辺)」と言われることが多くなります。「ここいらヘンにあったんだけど…」「じゃあ、このヘンでお開きということで」。