「あたらし」という形容詞は二種類あります。
一は、「あたら(可惜)」の形容詞化。「あたら(可惜)」の語源に関しては本ブログ4月16日。これは「あたらああし(可惜ああし)」。「ああ」は感嘆発声。この場合は落胆を表現します。「あたら(可惜)」であり「ああ」というこの表現は、価値を失わせ(生かさず)残念、もったいないということです。「溝を埋むるは地をあたらし」(地がもったいない)。さらに、可能的に良いもの、という意味にもなります。「あたらしき清きその名ぞ」(もったいない名だぞ(だからその名を粗末にするなと言っています))。「きはことにかしこくて(才能器量に優れ)ただ人(普通の身分の人)にはあたらし(もったいない)」。
他の一は、「あたらし(可惜し)」と「あらたし(新し)」が平安時代に混乱し「あらたし(新し)」の意味で用いられるようになった「あたらし(新し)」。後世、一般に言われる「あたらしい(新しい)」はこれです。