「あてあひ(当て合ひ)」。当(あ)てて合ふもの・こと、ということですが、当てて合ふということは「あて(当て)」に合ふことでもあります。「あて(当て)」という動詞は、A音の全感と活用語尾T音の思念表現性により、何かに対し全的な同動感を生じさせることを表現し、ものやことへの思念的同動はそのものやことへの依存や期待も生じ、「あて」は期待や思惑、見込みといった意味にもなります。つまり「あて(当て)に合ふ」とは期待や思惑、見込みに合ふことでもある。ものやことである対象Aにある人がどのような、そしてどの程度の、期待や思惑や見込みを抱くかは時間的空間的、一般的個人的事情によってさまざまです。「羆(しぐま)の皮一枚(ひとひら)を持ちてそのあたひを称(はか)りて曰く『綿六十斤なり』といふ」(『日本書紀』斉明五年)。