「あしほししほ(悪し、欲し、塩)」。あることを良くないと思う思いとそれを欲する思いがともに働き(しょげたように)活力が衰化すること。そうあって欲しい思いとそうあって欲しくない思いがともに働いたりします。「しほ(塩)」は意気消沈した状態になることを表現します。その潮解性(大気中の湿気を吸収し溶ける性質)によりグズグズ、ビショビショになるからです。「草まくら 旅を宜(よろ)しと 思ひつつ 君はあらむと あそそには かつは知れども…」(旅もいいものだと思いながら貴方はいるのだろうとあそそには、そのようには知ってはいますが…:万543)。この語の用例は「万543」のみです。つまり、この知識は「万543」の歌を理解する場合にしか役に立ちません。