「あしせり(足迫り)」。「し」は無音化しました。「せり(迫り)」は勢いの増強感が生じる情況になることですが、足だけがそうした動態になり全身は思うように進まない(前進しない)。そんな動態にあることを表現するのが「あしせり(足迫り)→あせり(焦り)」。「あがき(足掻き)」のように「あ」の一音で足(あし)が表現された可能性もあります。これはある場合の馬の状態から生まれた表現かも知れません。「娑婆にゆゝしく憎きもの、法師のあせる上馬(あがりうま:跳ねるような、後脚で立ち上がりそうな、状態になっている馬)に乗りて、風吹けば口開きて…」(『梁塵秘抄』(384))。