◎「あす(明日)」

「あせゐ(明せ居)」。明るくなることを表現する「あせ(明せ)」という動詞があり(→「あさ(朝)」の項)、それによる「あせゐ(明せ居)」。明けて居る状態であることを表現する。すなわち、ある日を基点にして、夜が明けて居る状態。すなわちその翌日。ただし、「あせ(明せ)」という動詞は資料にはない→「あさ(朝)」の項。

「置目(おきめ)もや 淡海(あふみ)の置目 明日(あす:阿須)よりは み山隠りて 見えずかもあらむ」(『古事記』歌謡112)。

「明日 アス」(『類聚名義抄』)。

 

◎「あした(朝・明日)」

「あせゐした(明せ居下)」。動詞「あせ(明せ)」はは「あす(明日)」や「あさ(朝)」の項。「あせゐした(明せ居下)→あした」は、明るくなった、明けた、もとにある、ということであり、夜が明けた状態、朝(あさ)にあることを意味する。また、暗い夜に言われ翌日を意味するようになる。つまり「あす(明日)」の意味で用いられるようになる。また、夜が明けた状態は「あさ(朝)」ということが一般的になっていく。

「…鳴く声を 聞かまく欲りと 朝(あした:安志多)には 門(かど)に出で立ち 夕(ゆふへ)には 谷を見渡し… 」(万4209)。

「一宿(ひとよ)の間(ほど)に稻生(お)ひて穗(ほ)いでたり、其(そ)の旦(あした)に垂頴(かぶ)して熟(あからか)なり、明日(くるつひ)の夜(よる)更(さら)に一(ひと)つの穗(ほ)を生(な)せり」(『日本書紀』)。

「若(も)し法師(ほふし)今日(けふ)亡(し)なば朕(われ)從(したが)ひて明日(あした)亡(し)なむ」(『日本書紀』:この「明日」は、あすのひ、とも読まれているが、次の日、の意)。

「旦 …アシタ…アケヌ……ツトメテ」「朝 ………アシタ……ツトメテ」(『類聚名義抄』:この「朝」に、あさ、という読みはない)。

 

◎「あさって(明後日)」

「あさて」の変化。変化というよりも、原形に近い形。

◎「あさて(明後日)」

「あすさりて(明日去りて)」。明日去りての日、の意。明日(あす)の次の日。

「明朝後日 アサテ」(『類聚名義抄』)。