「あてさな(当てさ名)」。「さ」はなにかを指し示します。当てたその名。その人にはそれがふさわしいとして実名の他にその人に当てた名です。これは中国の風習の影響によるものです。後世では「あだな(渾名)」がこの意になります。「あだな(徒名):徒(あだ)な名(な)」(実のない名、のような意)は「あざな」とは本来別語であり、意味も異なるのですが(→「あだ(徒)」の項:いずれ触れます)、実名ではない(実のない)、人々が習慣的に呼びならわしている名が「あだな(渾名)」と言われそれが非公式な「あざな」のような意味になります。町村内の小区画を意味する「あざ(字)」はこれの語頭であり、非公式だが人々が言い慣わしている地域名、ということです。