「あてしあきけり(当て為飽き蹴り)」の音変化。「しあ」が「さ」になり前音「て」の影響を受け濁音化し「き」は無音化しました。あてにし(期待し)、それが何のあてにもならないことに倦み果て、それを蹴り捨てるような言動をすること。期待し、絶望し、それを蹴り捨てるような言動をすること。悲しみのあまり抗議的に声を、特に大声を、発したり、何かに絶望しそれを罵る言動をしたりします。人にそれを行えば人を馬鹿にしたり見下したり侮辱したりする言動にもなります。「月にあざけり」は月に向かって積極的にそうした態度を表します。それが詩歌の吟詠になることもあるでしょう。「狂ひて哭(な)きあざける」。「これを見る人あざけり『世の痴れ者かな』と言う」。