「あげゐぬへ(上げ居ぬ経)」。「げゐ」が「ぐ」の音(オン)になっています。「あげ(上げ)」は、「しあげ(仕上げ)」のそれのように、動態を完全に成し遂げたことを表現します。「ぬ」は完了の助動詞、終止形。この「あぐね」は、ある動態(稀にはあらゆる動態)が完全に成し遂げられもはやなすべきことがなくなっている状態を経過していることを表現します。それゆえ「あぐね」は「ある動態」とともに用いられ独立ではほとんど用いられません(どうしようもなくなっている状態を表現する動詞としてそれだけで用いられている場合も稀にあります:「連れもあくねる焼酎の大生酔」)。「考へあぐね」「思ひあぐね」「捜しあぐね」。手段が万事休することを言う「あぐねはて(あぐね果て)」という表現もあります。