「あげはかた(挙げ努果田)」。「あがかた」のような音(オン)を経つつ「か」は消音化し「あがた」になりました。「あげ(挙げ)」は、中央へ(政府へ)挙げられる(送られる)、の意。この場合の「中央」は、とりわけ大化改新以前には、大和朝廷政府とは限りません。その「中央」は後に「おみ(臣)」になる古代氏族系の長(をさ)かも知れません(つまり、それがいつかは分かりませんが、大化改新の前からこの言葉はあったということです)。「はか(努果)」は、努力の結果、その成果。それが田への努力ならその収穫、すなわち稲や米。「はか(努果)」に関しては『音語源』※のその項。「あげはかた(挙げ努果田)」は、その収穫の全部あるいは一部が政府へ送られる田、その地。挙(あ)げ努果(はか)を生む田、それがある地域。古代・大和朝廷の直轄地などの名。この「あがた」という言葉から、(田から生まれるそれたる)中央への献納物、後世における税、を「あが」と表現することがあったと思われます(「あがた」は「あが(税・租)」の「た(田)」ということ)。
「諸(もろもろ)の国(くにぐに)に令(のりこと)して……県(あがた)邑(さと)に稲置(いなき)を置(た)つ」(『日本書紀』成務天皇五年)。
後世には「あがた」は「ゐなか(田舎)」という意味でも用いられるようになります。
※『音語源』はgogen3000の著作物です。語源辞典のような体裁です。
http://kaitahito.world.coocan.jp/
にあります。購読無料。いつでも誰でも自由です。関心のおありになる方はどうぞ。