「あけ(明け)」の他動表現。「明け」の語尾がA音化し「明け」の情況にすることを表現します。A音の全体感が情況感を表現します。情況感とは全体的環境感です。語尾E音(下二段活用)が自動表現の場合、こうした他動表現が多いです→「はげ(剥げ→はがし(剥がし))」「もれ(漏れ)→もらし(漏らし)」「もえ(燃え)→もやし(燃やし)」…。

「明け」の他動と言っても、事柄の性質上、その動態が人間と無関係に展開する場合その動態のままに自己の動態があることを表します→「夜をあかす」。

(光量を増すなどし)「明け(明るい状態)」を積極的に生じさせることも意味します→「ともし火をあかす」。「海原の沖辺に(沖や辺に)ともし漁(いざ)る火はあかしてともせ大和島見む」。

また、記憶や思考に「明け」の印象が生じる行為も表現します→「秘密をあかす」。

名詞の「あかし(証)」は証明・証拠(事実を「あけ(明け)」の状況にすること・もの)、を意味します。明るくするもの(蝋燭など)を意味する「あかし(燈)」もあります。「あかり(明かり)」は明るくなるもの・こと。「あかし(明かし)」は明るくするもの・こと。