「あかきあかかち(赤黄赤勝ち)」の音変化。色が赤いような黄色いような色で赤が優っているもの、の意。「ほほづき(酸漿)」、特にその実、の別名。
これは『古事記』や『日本書紀』にある古い語です。『古事記』や『日本書紀』でもわざわざ語の説明が書かれていますから、伝承されてはいても、それが書かれた頃にはもう古語だったのでしょう。
「彼の目はあかかがちの如くして、身一つに八頭、八尾あり」。これは「やまたのをろち(八岐大蛇)」の描写にあるものです。「やまたのをろち」の目は巨大な酸漿(ほほづき)の実のようだったようです。血のように赤かったのでしょう。ちなみに、「やまたのをろち」は、その身に苔(こけ)は生い、杉や檜(ひのき)が生い、その身は谷や峰(を)八つわたるほどで、その腹はことごとく血に爛(ただ)れていたそうです。巨大です。この「やまたのをろち」は、太古の昔、人々を襲った巨大地震の際の地割れの印象によるものなのではないでしょうか。蛇が這うように大地に巨大な地割れが走り、それが人々を何の慈悲もなく呑み込んだわけです。そういう恐ろしいことが起こるという伝承も後世の人々への警鐘になります。