空虚感を表現する「あ」による動詞。空虚感、自我構成力の喪失感(構成力の空虚化)、活性力の衰化、自我の不活性化(活性の空虚化)を表現する「あ」があります。

動態の全的完成―それが飽和し完成すること―はそれが無意味化し空虚となることを意味します。動態が完成し飽和したとき完成させ飽和させた動態はもはや動態として意味を喪失する。そうした空虚感を表現する「あ」による動詞としては他に「あせ(褪せ)」や「あき(飽き)」、形容詞では「あし(悪し)」があります。「あえ(落え)」はそうした飽和的な空虚を表現し、熟しきった果実が自然に枝から離れたり(つまり落ちたり)、汗や血や膿が、余ったように、溢れるように滴り流れ落ちる状態を表現したりします。

「かぐはしみ……あゆる実は、玉に貫(ぬ)きつつ手に巻きて……」(この場合のかぐはしい実は橘(たちばな)です)。