「あいづかはし」は、「アイづきあはしいし(愛づき会はしいし)」。「しいし」が「しし」のような音をへつつ一音化しました。

「愛づき」は、愛の様子であること。

「あはし(会はし)」、は、「あひ(会ひ)」の使役表現。会うことをさせる、つまり会わせることであり、経験させることを意味します。

「いし」は進行感を、ただ動態や情動の進行があることを、表明するシク活用の形容詞。これは古い形容詞ですが、この形容詞は後に(食べ物などが)「おいしい(美味しい)」という形容詞を生みます。

「愛づき会はし」は愛づいた様子・印象を経験させること。それを経験させる情況が進行していることを表明するのが「あいづかはしいし→あいづかはし」。

「みめ(見た目)などは似通ひ給へりけるが、いま少しにほひありて、あいづかはしきやうにぞおはしける」

ここにある「にほひ(匂い)」という言葉は、後には嗅覚刺激を表現することが一般になり、体験はしていないが感じられることなども表現しますが、元来は光、とくに赤系の色彩(さらには、それが感じられるような照り映えた印象)を表現しました。