☆☆☆★★

 

1980年公開。

ホラー映画としてよく名前の挙がる本作ですが、ホラー映画が苦手なので今までも観ないで来てしまいました。

でもまぁ有名な映画だし、キューブリック監督作だし、観ておこうと、恐る恐る観たのですが・・・。

ホラー映画と言うよりも、サイコ・スリラーって感じでしょうか?どっちかというと「シックス・センス」的な方向性でした。

もっと言うなら「命のやりとりに発展した夫婦ゲンカ」って感じかな(笑

「シャイニング」って何かと思ったら、それこそいわゆる「シックス・センス」。現代風に言うなら「ギフト」。他人にはない特殊能力。それを持っているのが息子のダニーで、その影響で両親にもホテルの霊が見える、って感じなのでしょうか。

ホテルの料理長でダニー同様にシャイニングを持つハロランが気の毒でした。冬期休業となるホテルを離れる際にダニーに「シャイニング」を教え、警告もしてくれた善人でした。それ故にダニーの危機を感じ取って雪に閉ざされたホテルに駆けつけジャックに殺されてしまいます。よりによって唯一の犠牲者が、夫婦ゲンカに無関係なはずのハロランというのがなんともやるせない。

ジャックが閉ざされたホテルで精神を病んでいく、小説が書けなくてストレスで追い詰められていく、それがやがて狂気に変わるというのもわかる。ホラー視点で見れば、かつてホテルで家族を惨殺した管理人の霊にそそのかされてジャックが家族を手にかけようとした、というのもわかる。でもやはり根底にあるのは、夫婦のお互いに対する不満や不信感だったのではないかな。それが閉塞的な環境で膨らみ、爆発してしまった。奥さんのウェンディも必ずしも一方的な被害者ではないよね、ダニーの首の傷がジャックによるものではないかと疑うあたり、不信の種は持っていた。

映像的には鬼気迫るものはあったけど、ホラー映画的なビックリしたり思わず目を覆うようなシーンはなく、ホラーシーンは心象イメージなのか本当に登場人物達が体験しているのか判然とせず、そこが恐怖心をかき立てられて面白かった。

それとジャック・ニコルソンは凄かったですね。彼があの体型を維持できていたなら「バットマン」のジョーカー役はピッタリだったんだろうけど。1989年版の「バットマン」ですでにあの体型だったからなぁ。

ラストシーン、ホテル開業記念に撮られた古いモノクロ写真にジャックが満面の笑みで写っていたのは何故なのか?謎を残したまま映画は終わりました。

それにしてもこのホテル、よく廃業せずに続いているよな(笑