10月に突入。

何気ない日常の中、TYK Promotionは、何気なく大きな変革を迎えた。

 

前回のブログでも報告した声優・タレント養成所「TYK STUDIO」のクローズ。

それに加え、さらにもう一つ「終止符」を打ったモノがある。

 

それは、この2年半、我々、TYKのタレントのアイデンティティとして使用していたネーミング『ナゴヤセイユウ』という名称を先月を以って「一時撤廃」した。

 

 

なぜ?か。

 

 

我々「名古屋からアニメを創生していくプロジェクト《ナゴヤアニメプロジェクト》」からすれば、今月ついにナゴヤアニメ第1弾作品「シキザクラ」が全国放送&配信となる。待ちに待った日がやってきたわけだ。

他者から見れば「まさに順風満帆」に見えるだろう。

 

・・・しかしながら、実際のところ、全く浮かれていない自分がいる。

むしろその逆で「焦燥感と危機感」しかない。

 

 

 

世間は、今やアニメ&声優ブーム。

 

 

ただ、そのビッグウェーブに乗っている「声優」は「スター声優」ばかりで、その人口は、事務所所属から自称声優も含めた「声優という大きな氷山」でいうところの「数%の選ばれた人たち」だけの話であり、その他の声優は「声優だけで飯を食うこと」がほとんどできていないのは「変わらぬ事実」ではないだろうか。

 

「なり手」の数はどんどん増えている割に、結局チャンスをモノにできる「勝ち組」になれるのは、ほんのひと握り。

それもそうだろう。

実力もキャリアもあって、その上でフォロワーもずば抜けて多い「勝ち組声優」と、名前も実力もフォロワーもいない将来性だけの新人声優・・・どちらをビジネスとして起用するか?答えは言わずもがな明白だ。

 

 

こうやって、ほんの数%の声優たちが、今の「声優ブーム」を牽引し、どんどん活躍していく。

 

さらにコロナに見舞われたことで、以前は「午前・午後」で1作品ずつ「出演者全員同時の掛け合いアフレコ」だったのに対し、今は三密を避けるため、個別に時間割りされ拘束時間が短くなり、少人数でのアフレコに移行したケースも多くなったという。

声優たちの拘束時間の短縮で、より一層、有名声優が同時期に多くの作品に出演することができるようになったと聞く。

 

これは、製作委員会など、アニメビジネスをする側にとっては非常においしい話なわけだ。

今まで以上に容易に「有名声優」をキャスティングできるわけだから。

 

しかしだ。

この出来事で憂き目を追うことになったのが「中堅声優」と「新人声優」。

 

今までだったら「スター声優」のスケジュールが空いておらず、その隙間を「中堅&新人」が掴み取り、キャリアとバリューを上げていき「スター声優」の仲間入りをする流れだった。

なのに、最近ではそういったチャンスも「すでに人気のスター声優」の元へと渡っていく。

 

故にチャンスの分母が減り、ブレイクする機会ももちろん減る。

「新たなスター声優」になれる確率は減少の一途だ。

この現象、必ず近い将来「声優業界の危機」になるのではと、危惧して止まない。

 

 

そんな「東京の声優」でさえ、生きる道がより狭くなっている中、「アニメ未開の地・名古屋」にいる声優「ナゴヤセイユウ」が順風満帆なはずもない。

 

 

じゃあ、「名古屋在住のまま東京に進出しよう!」と、動き出すと・・・アニメ関係の中枢にいる大切な友人の1人がこう言った。

 

『東京⇆名古屋が近いとはいえ、往復移動&宿泊で3万円以上かかる新人声優を製作委員会が選ぶメリットって正直ないじゃないですか?』

 

「よし!じゃあ、東京にも拠点をもって売り込んでいこう!」と、動き出すと・・・


『そんな半端なことやっても無理っすよ。声優業界ってガチガチに固まった村社会みたいなもんなんで。やるなら東京一本に絞って本気でやらないと。それでもどうなるかわからないくらいだし。』と。

 

 

もう、袋小路…ほぼ死刑宣告を受けたような勧告だった。

可能性や希望の光を全て閉ざされ、闇の中にドン!と押し込めらた気分だった。

 

でも、不思議とそんな宣告をされても、自分の心から湧き上がる「2つの燃える想い」は消えることはなかった。

 

1つは、『名古屋は絶対に捨てん!』だ。

そもそも自分の残りの命は「名古屋をエンタメで盛り上げること」に捧げると決めている。

 

2つ目は、『じゃあ、それでもやれたら、俺、ヒーローじゃん。第一人者じゃん。』だ。

名古屋の大先輩が教えてくれた「9:1の法則」。万人が「9」を取るなら、自分は「1」を取れ。まさにその精神だ。

 

 

とはいえ、活路が見出せず苦悩していると、同じく友人が今度は・・・

 

『じゃあ、名古屋でNo.1のスター育ててくださいよ。それがたとえ声優じゃなくても、名古屋で超有名になってくれて、そこに販促市場ができているなら、ぶっちゃけ東京の新人声優起用するより、製作委員会メリットが断然あるから、間違いなく声かけれると思う。』と。

 

 

それを聞いた瞬間・・・

 

『これだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!』

 

と、心の中で叫んだ。

まさに「天啓」を賜ったようだった。

 

 

「名古屋No.1有名人を生む」

 

「ナゴヤセイユウ」を創った当時から、そもそも目指していた「はず」であり、「つもり」だった。

「ナゴヤセイユウ」という概念は、従来の声優業だけでなく、ラジオ、TV、SNSなど、多岐に渡り活躍できる「名古屋No. 1の存在」を目指す存在だった。

 

だがしかし、いつの間にか、自分なりに得た「アニメ・声優業界の知識」により、どこかで「結局、声優になるなら東京にいかなきゃいけないんだ」と思いだしていた自分がいたようだ。

 

そんな頭の中と目の前に立ち込めていた暗雲を一気に払ってくれた天啓は、改めて一筋の光を見せてくれたようだった。

 

「名古屋でNo.1」

 

これはこれで果てしなく困難な道だ。

既存の存在で目指し、追い越すべき存在は「東海オンエア」であり「BOYS AND MEN」だ。

 

 

そんな「一筋の光」が見え、目指すものがハッキリとしたと同時に感じた、「ナゴヤセイユウ」という言葉への疑問。

 

それは「ネーミングの強さ」だった。

 

アニメ「シキザクラ」放映までは「ナゴヤセイユウ」というネーミングは手前味噌だが、すごく素晴らしい名称だと自負できる。

たった2年半だが「名古屋に声優あり!」と名古屋の業界関係者に浸透させることができたし、ファンの方たちにも親しみを持っていただけるところまで育てることができた。

このネーミングを考えてくれた名古屋の業界の先輩「株式会社ワンダーズの岩田氏」に心から感謝を申し上げたい。

 

だが、今後は違う。

現状シキザクラの次となる「第2弾ナゴヤアニメ」が始まるまでの間、既存の仕事(テレビやラジオ、イベントなど)や、SNSでの活動もより精力的に行う必要がある中で「セイユウ」と名乗ることは「大きな歪み」を生んでしまう懸念があるのだ。

 

結局、一般人が「セイユウ」と聞けば、「アニメに声を入れる人」だからだ。

 

もちろん東京のアニメのオーディションを事務所として取ってきたりという努力は最大限するつもりだ。

がしかし、肝心の「ナゴヤアニメ」がまだ影も形もなく、なかなか「アニメに声を入れる仕事」が巡って来なかったら「セイユウ」と名乗り続けていることが所属タレントたちにとっていずれ苦痛になってしまうと思う。

 

それにラジオDJやTVタレント、SNSタレントを中心に活動しているメンバーにとっては「ナゴヤセイユウ」と名乗ることがすでに違和感となってきてしまっているのだ。

 

 

やはり「言葉のチカラ」というのは、とても強いのだとひしひし実感する。

 

 

そんなジレンマから脱却するため決意したのが…今回の「ナゴヤセイユウ」の一時撤廃。

そして「声の表現者」という意味をこめた新たな職業名「ボイスエンターテイナー」だった。

 

 

この命名に込められた想いは、声優やその他の芸能タレントそれぞれの志向性が、広義に当てはまるということ。

「言葉のチカラ」で、やりたいことや可能性を狭めたくないという想いが込められている。

 

もちろん、インパクトは減った。

「ナゴヤセイユウ」の方が言いやすいし、印象に残りやすい。

しかし、今後はそれが「足枷」になると感じた。

今いるメンバーはもちろん、これから出会う新たな才能にとっても、この「新職業名」は必ずや「名古屋No. 1」への第1歩になると確信している。

 

 

とはいえ、第2弾ナゴヤアニメが始動する時には、再び「ナゴヤセイユウ」は復活する。

 

簡単にいえば「ハロプロ」の中の「モーニング娘。」が、「ボイスエンターテイナー」の中の「ナゴヤセイユウ」という概念となるのだ。

 

さあ、「ナゴヤセイユウ」再始動の為にも!

「第2弾ナゴヤアニメ」誕生に向けて、引き続き東奔西走するのみ!!

 

名古屋にアニメ産業・文化を根付かせるのは簡単な事ではないし、時間がかかるのは覚悟の上。

だからこその「ボイスエンターテイナー」という存在なのだ。

 

 

必ずや「ボイスエンターテイナー」が名古屋No. 1を獲ってみせる。

 

 

まずは、兎に角、今週末土曜日から始まるアニメ「シキザクラ」をどうか応援してください。