まず、弊社TYK Promotionは大きな転換期をこの2021年10月に迎えることとなった。
苦節5年の集大成となる第1弾ナゴヤアニメ「シキザクラ」が10月より全国放送&配信が遂に始まる。
正直長いことかかったが、東海エリアで初めての挑戦だったので、感覚的にはあっという間の5年間だった。
タレントとして20歳から名古屋で活動を始め、39歳からは「タレント・声優事務所&養成所」として法人化し代表となり、名古屋拠点の地元ヒーローを誕生させるべく後人育成に奔走していると、本当に苦悩ばかりだ。
ものづくりも大変だろうけど、「人づくり」はこんなにも大変なのか…と打ちひしがれることばかりである。
1人でタレント活動していた方が、よっぽど「楽」だし、今のキャリアのままいけば、それなりに食うに困らない人生を歩めたかもしれない。
でも、僕は思った以上に「名古屋が好き」らしい。
なぜか馬鹿みたいに「名古屋をエンタメで盛り上げて、面白い街にしてやるんだ!」という炎がメラメラ燃えて燃えて仕方がないのだ。
ただ、名古屋という土壌は本当に「エンタメ関連の企業」が少ない。
だから、仲間も少なけりゃ、ビジネスパートナーになれる相手も少なく、ましてや都市として「エンタメに関しての知識・リテラシー」が全くアップデートされていないのだ。
なぜなら「エンタメ」に帰属する企業・人材がいなさすぎて、情報が断絶されてしまっているから。
所謂、ガラパゴス状態、鎖国状態といった惨状である。
日本第3都市にして、ものづくり産業の街ではあるが、それはあくまで「衣食住&移動にまつわる生産工業」であって、「娯楽に対するものづくり」ではないのが致命的だ。
そうなると「エンタメビジネス」の機運は一向に高まらず、我々のようなエンタメの「0か100か?失敗か成功か?」のビジネスマインドだと「詐欺師」のように扱われてしまう。
生産工業は「モノ」という可視化された物体があり、それの有用性や利便性などに価値がつき、ふさわしい単価と物量が決まり、売り上げが見込める。
だが、我々エンタメは「娯楽」という「生活」になくても困らない商品を販売している。このコロナ禍でいえば「不要不急」に該当するモノなわけだ。悲しいかなね。
現在、愛知県や名古屋市はベンチャー企業、スタートアップ企業の誘致やサポートに大きくちからを入れている。
が、関係者に聞くと、おおよそが「テクノジーやIT」「教育」「SDGs」関連の企業が対象になることが多いらしい。
新たな起業=ベンチャーの機運も「エンタメ」には向いていないのだ。
理由は、単純に「名古屋の近代」がずっと「生産工業」に支えてもらっているからに他ならない。
ま、生活する人間としては超ありがたい限りだけどね。
名古屋人の大半が「住むのは好きだけど、面白い町だとは思わない」という意見であるのも頷ける。
それを踏まえて、3億円以上という莫大な資金を投入しないと出来上がらない「アニメ」をここ東海エリアの企業が出資し、完成まで辿り着き、全国・全世界に発信できるというのは、手前味噌だが「奇跡」だと感じる。
出資をしていただいた「中京テレビさん」「玉越さん」「中日本興業さん」「サブリメイションさん」「K&Kさん」には心の底の底から感謝をしております。ありがとうございます。
名古屋で実現不可能と思っていたこの「奇跡」も、考えようによっては、「誰もやらなかったから成し得ていなかっただけで、苦労はするけど夢を諦めなければ名古屋でも実現することができる」ということも同時に証明できたなと。
さて、じゃあ「シキザクラ」できたからって第2弾、第3弾・・・と、ジャンジャンバリバリ作り出せるか?といえば、そこがまた名古屋。どだい無理な話なのである。
当然、我々が東海エリアから「アニメ」を作ったことは、色々な関係各社が耳にしてくださっているし、興味は持っていただいている。
ましてや世の中は「鬼滅の刃ブーム」。
TVでは声優を見ない日はないし、コロナ禍で実写の映像が撮りづらいことや、リアルタレントはスキャンダルによって、トラブルになる事も少ないくないため、TV・WEBのCMに「アニメ映像」を起用する作品も多くなっているのも事実としてあるため、確実に時代として「ニーズ」は捉えている。
・・・が、「テレビアニメ」となると話は別なのだ。
だって、「億単位のお金」が必要になるからだ。
だから、今の名古屋はどんな感じかと言うと・・・
「シキザクラ」がどうなるか?
失敗するのか?
成功するのか?
様子見てからでも遅くないよね。
・・・と、誰もが静観している・・・のだ。
ま、これがまた名古屋っぽいよね。苦笑
さて、そうなると「今の我々」はどうしたらいいのか?
まずは、「シキザクラ」を1人でも多くの地元の方に知っていただけるよう、ナゴヤセイユウたちがチラシとポスターを持って、街に飛び出し、店舗や施設で掲出していただく活動をしている。
また、製作委員会を経由し、原作のないオリジナルアニメ=無名なアニメに放送前から興味を持ってもらうための「宣伝・広告」にナゴヤセイユウが出演したりしている。
・・・などがある。
じゃ、「シキザクラ」が終わった後はどうする?
そう。そこが問題なのだ。
正直、僕は今年に入ってからずっとその焦燥感を抱きながら危機的状況になる前にどうにかしなければ…と、策を練ることに執心していた。
しかし、その焦燥感は日を追うごとに現実となって足元からやってきた。
大きな原因は「演者たちのモチベーション」だ。
シキザクラ全話のアニメアフレコが終了したのは7月。
それにより演者たちに蔓延しだしたのが「次回作がないことに対する不安と不満」だった。
ただでさえ、このコロナ禍で「表現の場」を奪われてしまった若手タレントたちは、成長するチャンスも活躍するチャンスもどんどん失っている。
今まではシキザクラがあったから気づかなかったのだろうが、終わった途端、養成所内は、一気に火が消えたかのようにドンヨリし始めた。
早々に退所を選ぶモノ、月謝を延滞したまま消えるモノ、レッスン受講者が少なく前日にレッスンをバラしに、でも講師の皆さんには当然ギャラはお支払いする…などなど。
もちろんコンスタントに仕事をしているメンバーもいる。
でもそれは、ナレーションだったり、TVだったり、ラジオだったりで・・・テレビアニメではない。
芸能生活1、2年目のメンバーが上記の仕事をもらえていること自体感謝なはずが、「アニメ声優」がやりたいメンバーからすれば、明らかに「シキザクラ」が終了したことによる停滞感は抗いきれないモノだったし、何よりショックだったのは、TYKに対する「不平・不満」の声がどんどん増長していったことだった。
『なんのために俺はTYKを作り、シキザクラを作ったんだろう???』
『俺の今までの苦労をなんだと思っているんだ?』
『シキザクラができたのは、俺が5年間頑張ったからなんだぞ!』
と、めっちゃカッコ悪いことを心の中で叫びまくることもしばしば。
でも、思うのだ。
人はみんな自分が一番かわいい。
僕もそうだ。
だから開き直ることにした。
よし!
文句言われる筋合いもないし、レッスンも受けないんだったらスクールを辞めよう!
ということで、立ち上げ2年半の養成所「TYK STUDIO」をクローズすることを決意した。
このことは相当悩んだ。
もちろん急なクローズに対する反感も予想できるし、一生懸命通っているメンバーたちには申し訳ないという気持ちも大いにあった。
それに、もしかすると「シキザクラ」が大ヒットしてまた生徒も増えるかも…とかいう淡い期待を想像したこともあった。
でも、僕がブラしちゃいけないこと、それは「名古屋をエンタメで盛り上げるためにやりべきことは何か?」だ。
現状「シキザクラ」の次がないということは「声優」としてだけ名古屋でやっていくことが不可能であることは事実で、それがわかっている中でココにいつづけるということは、またさらに不平不満は増長する…そうなってはお互いにとって不幸でしかない。
「ナゴヤセイユウ」という存在は、当初から「マルチなタレント活動ができる新たな声優の概念」と定義し臨んできたが、「声優」がやりたくて、憧れて入ってきたメンバーからすれば、正直「シキザクラの次がない時点」で、「TYKにいる理由」はなくなる。
それならいっそ、こちらから区切りをつけよう。
ということで、養成所事業「TYK STUDIO」を一旦クローズすることに決めたのだ。
なので、理由はさまざまあるが、7〜9月で多くのメンバーが、TYKを離れることとなる。
別れは正直悲しい。いいものなはずもない。
しかし、お互いの将来を考えれば、確実にHAPPYな選択であったと僕は確信している。
ということで、10月からは「新生TYK」として、「シキザクラ」以降のアニメがなくても、TYKのスローガン「名古屋をエンタメで盛り上げて、面白い街にする!」に共感をし活動していく志を持ったメンバーのみが残り、新たなスタートを切る準備を重ねている。
「シキザクラ」といういい意味でも、悪い意味でも、大きなコンテンツを名古屋に産んでしまったこと。
それによって得られた経験や出会いは本当にかけがえのない財産となった。
逆に、大きすぎたために、我々TYKの未熟さを露呈し、不幸なこともいっぱいありました。
でも、そんな経験をしたエンタメ事務所は名古屋にそんな多くはないはず。
シキザクラをきっかけに出会えた全ての関係者に改めて感謝とリスペクトを贈りたいです。
本当にありがとうございました。
そして!!
10月から生まれ変わる「TYK」をどうかよろしくお願いします!
まだご報告したい重大発表いっぱいあるので、またブログします!
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