令和5年(2023年)の税制改正の注目点の一つは暦年贈与だ! | 経営の勘どころ・つかみどころ

令和5年(2023年)の税制改正の注目点の一つは暦年贈与だ!

この数年間、いつもこの時期を迎える頃になるとささやかれ始まるのが生前贈与の話である。社会の格差問題の一つとして富裕層への富の集中化が取り沙汰されるなか、決まってその解決策としてフォーカスされるのが現行税制のあり方である。


 つまり多くの財産を有する富裕層が、自らの相続税の負担を軽減するため計画的に生前贈与を行うことで、将来の税負担を相当程度圧縮できてしまうことが社会的な公平さを欠き、かつ、持てる者と持たざる者との格差拡大につながっているとの見解が毎年のように指摘されている。特に中心的な論点に浮上しているのが、生前贈与の王道と目される暦年課税制度の改正機運である。2021年度の与党税制改正大綱に続き、2022年度の同税制改正大綱においても、生前贈与税制の改正を示唆する文言が盛り込まれており、今後の2023年度税制改正の動向が注視されているのが現状であろう。


 さて、それでは過去2年間の生前贈与、とりわけ暦年課税制度の改正に関する与党税制調査会の態度はいかなるものであったかというと、財産継承を巡る税制上の主な論点として表明しているのが、「資産移転時期の選択に中立的な税制を構築する方向で、検討をすすめる必要がある。」という点に尽きる。


 資産移転時期の選択に中立的とは、砕けて云えば、いつ生前贈与しても公平な課税が行われることを意味する。例えば、相続発生前の1年前に贈与によって資産移転しても、同様に7年前に資産移転しても、贈与の時期にかかわらず相続税を課税できるようにして税負担の公平を図る仕組みの検討をすすめるというこである。現行の生前贈与対策で誰もが行っているのが受贈者一人につき年間110万円までの贈与が非課税となる暦年課税制度である。計画的に「長く早く遅れなく」暦年贈与を続けていけば、相続時までに相当程度の資産移転が実現し、合法的に相続税が節税できる。但し、現行税制では相続開始前3年間に行われた贈与は、相続財産に持戻して合算課税をされる規定になっている。

 が、3年を超えていれば課税されずに済むので、無理な借金をして将来に禍根を残す可能性のある賃貸マンション投資などの節税対策などと較べても、リスクなしで安心して取り組める相続税対策であり、多くの人がこの税制を利用しているのが実情であろう。

 

 来たるべき2023年の税制改正では、この暦年課税制度の改正が主役になる可能性が高い。すでに与党・政府の両税制調査会においても、暦年課税廃止論はさすがに否定的ではあるものの、相続開始前3年間の贈与財産の持戻し期間については、相当程度延長する方向であることを匂わせている。持戻し期間が5年になるのか7年になるのか、はたまた10年になるのか10年超になるのか、現時点では不明だがおそらく3年間という期間は相当程度延長される可能性が高いと云わざるを得ない。


 この持戻し期間延長の改正はおそらく国際標準をベースに検討される公算が高いと推測される。そこで、外国の例をみると、英国は7年、ドイツ・韓国は10年、フランスは15年、米国は無期限となっている。これら外国の例を参考に持戻し期間延長が検討されるとすれば、現行3年が7年~10年(最長でも15年)のレンジで決まるのだろう。納税者の立場からすれば最良な改正は英国並みの7年、最悪はフランス並みの15年というところだろう。いずれにしても「期間3年」が使えるのは今年と来年の2回限りか?