ランニングと脳の関係~ネガティブな自己暗示が後半の失速を招く!? | 「最後まで諦めない」~医師、時々作家、そしてランナー

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医師であり、時々作家、そしてランナーである筆者が日々の出来事について徒然なるままに綴っております。「最後まで歩かない」事をレースでも、人生でも目指しております。

昨日もツイッターで呟き、何人かの方とやり取りした話題について今日は書きます。

「レース後半の減速は何によってもたらされるか?」

私がこの問題について深く考えさせられたのは昨日の日本経済新聞のスポーツ欄の中に載っていた記事がきっかけです。

その記事によると普通の人間の脳はフルマラソンなら30キロ、ウルトラマラソンなら70キロと全行程の3/4を過ぎると体に「疲れたから休め」という命令を出すそうです。いわゆる、トップアスリートやエリートランナーの場合は逆に「まだまだ頑張れる」という情報が伝達されるとの事です。

この記事を書いた記者も書いていましたし、私も先日の宮古島のウルトラマラソンで経験したのですが、ウルトラの場合は30キロなどはまだ全体の1/3にも満たない距離ですし、フルマラソンの距離に当たる40キロのキロ表示板を見ても、まだ全然余裕がありました。フルマラソンならゴールでもウルトラならまだ半分にも達してないので、
感慨に耽っている余裕もありませんでした。

幾らペースを落とし気味に走るウルトラとは言え、フルに換算すれば4時間を少し越えるぐらいのペースは維持していました。あんな経験は練習でもレースでもしたことがありません。
しかし自分でも山場と思っていた70キロ以降、ペースは著しく落ちてしまいました。

昨日、ツイッターであるフォロワーさんがハーフマラソンに関して、同様の意見を寄せて下さいました。
21キロなんてフルを走る事を考えたら、まだ半分。フルマラソンを走る時なら15キロから20キロでさしてきついと
感じる事はないはずです。でもハーフを走っている時は最後の5、6キロちょっとはやっぱりしんどいのです。

「非常識マラソンメソッド」(岩本能史著)の中にもレース後半の疲れに関して記載されている箇所があります。
「レース後半の疲れや、特に足裏の痛みは、エネルギー補給食品などで糖質を補給することで驚くほど簡単に
解消されます」や「ガス欠の状態が続くと、最終的に脳はダウンする」といった記述があります。

岩本氏の場合はレース後半に、エネルギー補給を行い「脳を騙す」作業を行えば失速は防げるという点を
強調しているようです。

私も最近はカーボショッツをフルマラソンでのレース後半の30キロ、35キロの2箇所では必ず補給するように
しています。しかし、ウルトラで42キロを走った時のあの爽快感をフルのレースで感じる事は出来ないと思います。
これはフルで21キロを過ぎる時の気持ちを、ハーフマラソンでは体験できないのと同じだと思います。

多くのアスリートもレース前のエネルギー補給やレース中にどのタイミングでスペシャルドリンクを飲むかという
点については尽力しているでしょうが、彼らでさえマラソンでは気持ちの部分が大切である事を盛んに強調していると思います。

「マラソンは心で走る」とはかの瀬古利彦氏が残した名言です。レース後半、自分をいかにして奮い立たせるか、
即ち「勝負脳」をどのようにして育てるかは、脚力をつける事と同じぐらい重要な事だと思います。

まずは自分で自分にかけている自己暗示を解くことから始めたらどうかと思います。「35キロ過ぎたらきつくなるだろうな」とか「これはいつもと同じで後半になると失速するパターンだな」などと考えると、脳が体に「疲れているなら速度を下げるか、止まりなさい」と命令するような気がします。

「今日の自分は35キロ以降、ペースを上げていく」という気持ちを切らさず、更に適切な栄養補給を行えば、失速は回避出来るような気がします。新たな自己暗示をかけてみましょう!そうすることで潜在能力が開花するかもしれません。
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