ウルトラマラソン初挑戦で私なりに感じたウルトラの走り方やウルトラへの雑感を書かせて頂きます。
1.ロング走の練習は2週間前に100キロに近い距離を走るべし!
月間走行距離も勿論大切だと思います。ウルトラを走るのなら3ヶ月前から、月間300キロは走った方がいいでしょう。最も重要なのは実際のレースに近い距離を2週間程度前に1度走っておく事でしょう。
フルマラソンの前なら42キロ、ウルトラマラソンの前なら100キロ走るべきだと思います。確かに35キロ以上走って
いなくてもフルマラソンを完走する事は出来ましたし、53キロしか走った事がなくても100キロを完走する事は出来ました。
しかし、実際に近い距離を走らなければ、走ってみなけりゃ分からないレースしか出来ません。42キロ走った時に、或いは100キロ走った時に自分の体、特に脚の状態がどのようになるかを把握しておくべきだと思います。
何よりレースより練習の方がずっとしんどいので、「これでレースではこんな感じで走れるな」と感じる事が出来、
メンタル面での効果が非常に大きいのではと感じます。
私はこれまでウルトラはおろか、フルでもこのような実際の距離に近いロング走をしていませんでした。後半になると目を剥くような走りを見せるランナー達はこのような練習をしているんだと思います。3月13日にフルマラソンにエントリーしていますので、まずはその大会の前にこの練習法をやろうと思っています。
2.ウルトラマラソンは50キロ×2回のレースと考えるべし!
100キロ一気に走ると考えるとやはり精神的にかなり圧迫感はあります。今回走ってみて分かったのですが、中間
地点のエイドは単純に着替えたり、栄養補給をしたりするだけでなく、気持ちの切り替えもかなり図れます。ここまで辿り着いたところで1回レースは終わったと考えるといいかもしれません。
後半の50キロのしんどさは、前半の50キロとは全く別物なので、気持ちの上で別のレースと考えても、体力的には
きついかなと思います。後半の50キロを楽に走るためには前半をいかに抑えて走るかに懸かってます。
フルマラソンでもペース配分が勝負を分かつように、ウルトラマラソンではより細やかなペース配分が要求されると
感じました。前半の50キロは2分割ぐらいの大雑把な考え方でもいいかもしれませんが、後半の50キロは10キロ毎に自分の体の状態を細やかに把握し、栄養補給もちょっと摂り過ぎかなと思うぐらいに摂るべきだと私は思いました。
後半のペース配分、栄養補給を間違えると80キロあたりで確実にガス欠に陥りますので注意すべきです。
3.熟年ランナーはウルトラマラソンで輝け!
まずはブログで盛んに用いた「壮年」という言葉が適切でなかった事をお詫びしますw。
整理してみると、以下のようになります。
壮年:35歳~49歳
中年:40歳前後~50代後半
実年:50歳~60歳
熟年:50歳前後
初老:60歳くらい
高齢者:65歳以上
私が出場した宮古島ウルトラ遠足の男性出場者の平均年齢は50歳、女性の平均年齢は45.9歳でした。
上に示した分類から考えると壮年はもっと若い方を指す言葉ですので、中年ランナーが中心の大会だったのです。しかし、出場者の中には60台、70台の方も随分いますので、初老或いは高齢者と分類される方が多く
出場されている訳です。ちょっとビックリです。
なぜこのようになるかと考えてみました。
1)ウルトラマラソンは可能なら前々日に現地入りして、前日にコースを下見するのがベスト。そしてレースに出走し、レース翌日に帰る。余裕があればレース翌日は観光して、翌々日に帰れたら最高です。そうすると3泊4日、ないしは4泊5日の旅程になります。
60歳で定年という時代は終わっていると思いますが、65歳ぐらいになればある程度まとまった休みも取りやすいのではと思います。
2)ウルトラマラソンのエントリーフィーはフルマラソンの約3倍です。15.000円が相場だと思います。又、遠征費、宿泊費を含めると1回当たり10万円程度は掛かります。地元での開催ならかなり安上がりになるでしょうが、エントリーフィーが高いのは、結構堪えるのではないでしょうか?これはトライアスロンでも同様な事が言えます。
子供も自立し、悠々自適で元気な老年期に入った方々がフルマラソンで若者達に勝てない鬱憤を晴らしに、ウルトラを選んでいる可能性はあります。
3)夫婦で楽しむ
夫婦でフルマラソンを楽しむ方も多いと思います。ウルトラマラソンに夫婦で挑戦したり、あるいは旦那さんが走っているのを奥さんが応援しに来ているのも多かったように思います。ウルトラなどを一緒に走り、現地の美味しい物を食べたり、観光したりして帰ると熟年離婚の危機からは少なくともかなり遠ざかっていると思います。
4)ペース配分が上手くなるにはそれなりの経験が必要なのではないでしょうか?幾ら前半抑えて後半勝負すべき
だと思っていても、アドレナリンの分泌が盛んな青年や壮年にはこれをコントロールする事が中々出来ないのかも
しれません。
その点、酸いも甘いも噛み分けた熟年、初老のランナーは100キロという気の遠くなるような距離を、その人生の
経験値をもって適切に制御できるから後半強いのかなと思います。
以上、私見ですが、ウルトラに中年はおろか、それを飛び越えた老年期に差し掛かったランナーが多く出場し、
活躍している原因を探ってみました。
4.女性ランナーは男性をごぼう抜きにしたければ、フルよりウルトラに
進出すべし!
「BORN TO RUN」に女性ランナーと男性ランナーのタイム差は距離が長くなれば長くなるほど、縮まっていくという
記述があります。
今回、その記述が大袈裟でない事を思い知りました。特に50キロ以降、女性ランナーたちに面白いように抜かれて
しまいました。最後のあたりでも「俺はなぜ、このおばちゃんより遅いんだ!?」と自分に対して怒ったりもしました。
思えば日本の女性ランナーは最近少し停滞気味ですが、男性ランナーよりも世界でも互角に戦いうる力を持って
います。日本女性に独特な粘り強さ、あるいは民族的な血というのもあるのかもしれません。
フルマラソンに少々飽きてきて、ウルトラに興味がある、またはフルでの記録はもうこれ以上は伸びそうにないと
感じている女性ランナーは是非ウルトラの世界の扉を叩くべきです。仲間は結構多いですよ。
5.ウルトラマラソンは体力より精神力で走るスポーツである!
ウルトラマラソンを走るためにそれなりの体力は必要です。これは否定できません。しかし、フルマラソンの倍以上
の距離を走るから、倍以上の体力が必要かというと、決してそんな事はありません。
体力以上に必要なのは精神力でした。メンタルは決して弱くない方だと思っていましたが、体験してみて「残り20キロを切ったら、もう少しだ」なんて決して思えない事がよく分かりました。残り10キロになっても全く楽にはなりません。走るための「心のスイッチ」をずっと入れっ放しにしておくのは、少々難しいと思います。
前半はリラックスして走りましょう。後半の50キロに入ってから「そろそろ本気出そうかな」ぐらいが丁度いいように
感じました。そうすると最後まで気持ちが切れないかもしれません。
6.コースは絶対に下見すべし!
先ほども述べましたし、これはフルマラソンにも当てはまります。1回出場した大会は距離感やアップダウンが
掴めていますので、初出場の時に比べて確実に走りやすいはずです。私は3月のくすのきカントリーマラソンの
前には何とかしてコースの全体像を事前に下見して掴んでおこうと思っています。
100キロ走るのに下見なんて意味あるのかなと考えていたのですが、少なくとも宮古島のウルトラのコースは
私がこれまで走ったハーフ、フルのどんなコースよりもタフでしたし、風やアップダウンも前日に体感する事が
出来ていれば気持ちも随分違ったのではと思っています。
ウルトラのコースがフルよりは楽なところを走らせてもらえるとか勝手に決めてかからない方が身のためです。
1回走った事がある大会でなければ、少し余分にお金や時間がかかっても下見は必須だと思います。
7.持ち物は最小限に抑え、ウエストポーチ1個ないし2個に全てを託せ!
最初は大した事ないと思っていた荷物が距離を経るに従って、徐々に重いと感じ始めますし、肩への負担は
走りの邪魔になります。ウルトラは中間地点のエイドでウエストポーチの中身をもう1回リセットする事も
出来ます。
カーボショッツ、ウィグライトPro、アミノバイタル、MUSASHIなど直ぐにエネルギーが吸収される物は、幾らエイド
ステーションに食べ物があると言っても、特にレース後半はこんなにいるかなと思うぐらい持ってても無駄には
ならないと思います。想像以上にエネルギーを消耗するのがウルトラだと思います。
8.自分なりに楽しめばよい!
完走制限時間内にゴールできればそれで十分だと考えるのも決して悪くないと思います。タイムを意識し始めると
フルマラソンやハーフマラソンも結構疲れます。ウルトラも時間を目一杯使って、高いエントリーフィーの分だけ
は楽しもうと考えるのもありでしょう。
100キロですから走りながら、風景を楽しんだり、写真を撮ったり、夫婦で語らったり、他の参加者と交流したりと
楽しむ方法は幾らでもあると思います。ただし、完走しないと思い出が中途半端になりそうな気がしますので、
関門のある大会では関門制限にも充分注意を払いながら楽しんだ方がいいかなと思います。
以上、1回だけの経験ですので大した事は書けていないかもしれませんが、ウルトラの走り方、楽しみ方を書いて
みました。少しでも参考になれば幸いです。