夜明けに発つ鳥 -15ページ目

夜明けに発つ鳥

祈りを、願いを、その翼に載せて―

彼は最初「君を知りたい」と言った


私はそれを、やんわりと断ったつもりだったのだが


彼にはそれが伝わらなかったのか、何度も声をかけてくる


白状すると、別に声をかけられるのが嫌なワケではないのだ


むしろ、こんな私のような人間に興味をもってくれた事が純粋に嬉しい


けど、そこまで


私は誰かと深くつながってはいけないのだ


だって、きっとそれは彼を不幸にする


私だって人の子だ


他人の不幸を望んでなんていない


だから、彼を不幸にしないために私は無関心を装い続けなくてはならない


何度声をかけられようとも、振り切り続けなくてはならないのだ


…それがきっと、彼のためなのだ




☓  ☓  ☓




彼女は「知らない方がいいことも世の中にはあるわ」と言った


俺は彼女に告白したつもりだったのだが、それにしてはずいぶん変な答え方だ


「はい」か「いいえ」で答えてくれれば結果はハッキリしたのだが、これではなんともわからない


もしかしたら正しく伝わらなかったのか


でも仕方ないだろう、女性に告白するなんて人生初めての経験だったんだから


…しかし、正確に伝わらなかったのならそれはそれで問題だ


彼女にもう一度告白して、ちゃんと返事を貰わなくてはいけない


もしちゃんと伝える事が出来て、OKを貰えれば最高だし


駄目なら駄目で諦めがつく…と、思う


とにかく、もう一度俺の気持ちをハッキリ彼女に伝えないといけないのだが


彼女はあれ以来、何度俺が呼びかけても話を聞こうとしてくれない


話かけようとすると、いつも素っ気無い返事と共に颯爽と歩き去ってしまう


もしかして、既にもう嫌われてしまったのだろうか…