彼は最初「君を知りたい」と言った
私はそれを、やんわりと断ったつもりだったのだが
彼にはそれが伝わらなかったのか、何度も声をかけてくる
白状すると、別に声をかけられるのが嫌なワケではないのだ
むしろ、こんな私のような人間に興味をもってくれた事が純粋に嬉しい
けど、そこまで
私は誰かと深くつながってはいけないのだ
だって、きっとそれは彼を不幸にする
私だって人の子だ
他人の不幸を望んでなんていない
だから、彼を不幸にしないために私は無関心を装い続けなくてはならない
何度声をかけられようとも、振り切り続けなくてはならないのだ
…それがきっと、彼のためなのだ
☓ ☓ ☓
彼女は「知らない方がいいことも世の中にはあるわ」と言った
俺は彼女に告白したつもりだったのだが、それにしてはずいぶん変な答え方だ
「はい」か「いいえ」で答えてくれれば結果はハッキリしたのだが、これではなんともわからない
もしかしたら正しく伝わらなかったのか
でも仕方ないだろう、女性に告白するなんて人生初めての経験だったんだから
…しかし、正確に伝わらなかったのならそれはそれで問題だ
彼女にもう一度告白して、ちゃんと返事を貰わなくてはいけない
もしちゃんと伝える事が出来て、OKを貰えれば最高だし
駄目なら駄目で諦めがつく…と、思う
とにかく、もう一度俺の気持ちをハッキリ彼女に伝えないといけないのだが
彼女はあれ以来、何度俺が呼びかけても話を聞こうとしてくれない
話かけようとすると、いつも素っ気無い返事と共に颯爽と歩き去ってしまう
もしかして、既にもう嫌われてしまったのだろうか…