ケント逮捕のあとから
金山さん預かりで運転手兼金融屋の
手伝いに加わった 
その
金融屋の責任者が高畑さんと言う人で
ケントとの友達でもあったが
素人の優しい人で大の大麻好きでもあった

金融屋があるその西新宿の事務所に
自分は寝泊まりする事になって
金山さんの運転手の用事が無い限りは
高畑さんの家がある中野坂上までの
送り迎えをしたり
事務所では
返済に滞っている人に督促する
電話をしたりと そんな毎日で
でも1日1万円と
月末に20万円もらえていて
賭事も酒女薬もやらないし
食事光熱費はかからずで
結構な額の仕送りはしていた

そこは金融屋だか組の事務所でもあり
随時4人ほどのスタッフがいて
毎日何かしらの怪しき情報は
飛び交っていた
そんなある日のこと

関西から 東京駅待ち合わせで
1個1キロ50万で3個まで買える
大麻があると言う話しを
高畑さんがのりのりで
話しを進めていて
それをだれが一体取りに行くか?
となっていたとこ
俺に白羽の矢が向けられた

東京駅八重洲口中央改札待ち合わせで
黒服で黄色のシャツが目印の人に金を渡し 
付近に居る黒服赤シャツの人から物を受け取る と言うこと
自分達は1個を買う事になり
報酬は10万と大麻100グラムで
大麻は要らない代わりに15万の報酬で
話は決まって
結構あっさり取引を受けてしまった

黄色の人に金を渡し
赤シャツから受け取る

黄色の人に金を渡し
赤シャツから受け取る

黄色の人に金を渡し
赤シャツから受け取る

駅に向かうタクシーの中で
呪文のように唱えていて
小刻みに震えもあった

八重洲口到着
こちらは何でも構わない襟元にバッチ
を付けていてくれと 指示され
俺は渡された
黄色のミッキーの缶バッチ付けていたとこ

近くの車両の窓越しから
目印の黄色の人がずっとこっち見ている

その車のドアが開き人差し指で
そっち行けみたいなこと合図をされ
人気の無い場所に移動
金金
みたいなジェスチャーをされ
封筒から数センチ
束の一万円札を見せるようにして渡し
あっちと指を指されて見ると
赤シャツが手招きしている

持ってきた肩掛けバッグを開けて
スムーズに受け取り
軽く頭を下げ 
その場をあとに
結構な早歩きで 
タクシーに乗った

どっと 解放され
ぐったりして
事務所に着いた

その夜 
高畑さん宅で大麻パーティになって

初めてぶっ飛んで
初めてあんなに大食いして
初めて10年分位大笑いした
 
これがのちのち
鞍部産大麻につながる事になる。