スマホの写真を整理していたら、
今年の妻の誕生日の動画が出てきました。
みんなでハッピーバースデーを歌いながら、
妻は目の前のろうそくを、
ニコニコと笑顔で眺めていました。
この頃には、
もう医療用の帽子も被っていて、
ちょうど痛みや副作用と戦っていた頃。
それなのに妻はとっても嬉しそうで、
幸せそうで、
ケーキと僕をちらちらと見ていました。
とても辛い辛い思いの中で、
一体妻はどんな思いで、
自分の誕生日を過ごしていたんだろう。
こんなにも幸せそうな笑顔で…。
きっと自分がいなくなるなんて、
思ってなかったよね…。
助けられなくて、本当にごめんよ…。
また、
一人で号泣してしまいました…。
妻の言葉を思い出そうとすると、
どうしても、
ひとつひとつの思い出の一場面が、
目の前にいるかのように蘇ってきます…。
あんなに笑顔だったのに…。
あんなに辛い思いをさせてしまった…。
どうしてなんだろう…。
以前、主治医に挨拶に行った際、
妻の病気に関して、
「今後の医療の発展の為に、泌尿器科会で匿名で公表し共有させて頂きたい」
と、依頼がありました。
勿論、承諾をしました。
「では、公表の前には必ずご主人に電話をさせて頂きます」
と仰られました。
それから、
何度か電話が掛かって来ましたが、
結局、取ることが出来ません…。
あのよく見た電話番号…。
息子の危篤が掛かってきた時も、
こんな遅い時間の電話でした。
予期せぬ時に掛かってきた電話も、
妻の余命を知らせる電話でした。
もう、出たくありません…。
名前も見たくない…。
承諾しておいて、
大人気ないのは分かっている…。
けれど、
出れない…。
「妊娠をされている方は膀胱がんに掛かることはまずないだろうという、我々医師の認識を改めなければいけないと痛感しました」
そう、
泌尿器科には掛かっていたんだ。
何年もずっと。
それなのにステージ3になるまで、
気づいて貰えなかった。
これは妊娠の症状だと。
膀胱炎はよくあることですと。
なんなら、
医師に勧められた、
自己導尿がキッカケで、
腫瘍が生まれてる可能性すらある。
泌尿器科も、
高度生殖医療センターも、
産婦人科も、
見落とした。
息子の心臓病だって、
他のセンターだったら、
きっと救えたはず…。
分かってる…。
誰のせいでもないということは…。
それでも、
息子と妻の命を奪った人達とは、
もう関わりたくない…。
きっと、嫁は怒ってるだろうな…。
「旦那さん、誰も悪くないよ」
「そんなことしちゃダメだよ」
って…。
ごめんね。
こんな旦那で。
心配かけないように、頑張るから。
たまに、嫁さんを思って、
泣いちゃうことを、
許してね。