素人には手に負えない。
そんなことを改めて感じさせられた。
回腸ストーマを作ってもらい、
少しづつ食事が食べれるようになり、
退院した妻。
主治医の先生からは、
まだ水分がうまく吸収出来ないから、
しんどくなったら、
いつでも点滴を打ちに来ていいよと言われた。
ゴールデンウィークは皆勤賞で、
点滴を毎日2時間。
脱水症状を防ぐ為にOS1も毎日摂取。
そんな中、後半になった頃、
妻の身体がみるみる内に痩せていった…。
副作用で髪がたくさん抜け、
身体も頬も痩せこけてしまって、
立ち上がると、
吐き気と気持ち悪さで動けないほどに。
そして、また夜になると高熱が…。
当直の先生には、
昨日も何も言われていないということは、
抗がん剤治療の副作用の範囲内…?
もしかして、
腫瘍が大きくなっているのだろうか…?
もうダメかもしれない…。
見たことがない妻の姿に、
僕も家族もそんなことを心の中で思っていた…。
主治医は連休中なので不在。
外来は休みで、
病棟の看護師さんでは判断が付かない。
当直の先生は、
様子見してくださいと、
それ以上の診察はしてくれない。
妻が点滴の量が足りないのかも…と、
言ったので、
翌日倍の量を入れてもらった。
最終日、
僕が仕事から帰ってくると、
幾分か体調が良さそうに見えた。
急に暑くなった日でもあったので、
扇風機に当たりながら、
涼しく1日を過ごしていたみたい。
そんな夜、
また妻の熱が急激に上がった…。
やっぱり腫瘍が大きくなってるんじゃ…。
そんなことが頭から離れなかった…。
初めてのことばかりで判断が付かない…。
寒気でガクガクと震える妻に、
毛布を掛けてカイロを貼ってあげ、
震えが収まった隙にベッドへ移動、
熱が下がらないことが心配だったのと、
今日1日中扇風機を浴びていたからか、
手足が冷たく、
身体を冷やしてはいけないと毛布を掛けた。
そんな自分の行動から、
翌日の朝、妻の脱水症状が悪化してしまった。
熱から汗を大量にかいたからだ。
尋常じゃない妻の様子に、
主治医からは入院は早めることも出来ると、
連休前に聞いていたので、
今日から入院が出来ないか病棟へ相談。
病棟の看護師さんは、
私には判断が出来ないと待たされ、
先に外来で診察を受けてくださいと言われ、
外来に連絡をしても、
元々の予約の時間は早められないと。
病院に着いてしばらく待っていたら、
外来でお世話になった看護師さんが出てきてくれて、
「こんな状態なのに、外来では絶対にダメ。
私がすぐ入院出来るように手配したから、今から病棟に行きましょう」
と、回してくれた。本当に感謝。
大きな病院は、
当たり前だけど融通が効かない。
素人には判断が付かないことが起きても、
すぐ相談出来る相手がいない。
そして、そういう時は大抵、
夜。
時間外なのは仕方がないけれど、
毎回、警備室へ電話をして個人情報を伝えて、
病棟に繋がっても、
担当じゃないから分かりませんと言われ、
忙しいからかあまり掛けて欲しくなさそうな、
雰囲気さえ出してきて、
担当は1人しかいないので、
掛けても繋がることの方が圧倒的に少ない。
担当にも繋がらないので、
勿論、主治医とも連絡が取れない。
当直の先生に繋げてもらったところで、
診てから判断します、様子見してくださいと、
当たり障りのないことしか言ってくれない。
一体誰を頼ればいいのか?
そして、コロナの規制。
もし面会で病院に長時間いられれば、
看護師さんとゆっくり話も出来て、
主治医とももっと頻繁に会え、
今の体調がどうなのか、
これからのこと、
こういう時にどうすれば、
ひとつひとつリアルタイムに、
話を聞けた様に思う。
結果、妻の痩せてしまったことと吐き気の原因は、脱水症状だった…。
入院して点滴をしてもらうと、
一晩で元の妻に戻った。
心配していた腫瘍は、
ほんの少し大きくなっている部分はあるものの、
何とか薬が踏ん張ってくれている、
という評価で、一安心した。
脱水症状であそこまで痩せるなんて…。
自分は想像すらしてなかった…。
本当に、判断が難しい。
どんな時でも妻を助けてきて、
助けられる自信があったのにな…。
コロナが5類になったことで、
こういった患者側が抱えるストレスが、
少しでもなくなっていくことを、
心から願います。