私と子ども達は、斎場の控室で寝袋にくるまって朝を迎えました。

義父母や受付の人達は、私達の身支度が終わるか終わらないかの時間にもう集まっていました。


告別式では、着席できるくらいの人数でしたが、通夜式と両日お越し頂いた方も多くいました。

最期のお別れに、号泣しているお友達もいました。


棺には、花を手向け、持参した手作りのハンバーグと唐揚げ、写真化したメガネやスマホ、趣味のフィギュアを入れました。あとは、先輩の差し入れの、これまた唐揚げ(笑)と、タバコ。


タバコは、家族としては入れたくない気持ちもありましたが…亡くなった日のせん妄の中で、

「ライターある?」

「ライター?何に使うの?タバコ?」

「うん」

というやり取りがあり。

最期にこんな言葉が出るとは、よっぽど吸いたかったんだろうな、と。


あと、葬儀社の人の計らいで、事前にヒアリングしていた、夫の好きなお酒「金麦」を入れてくれました。

金麦、っていうのが、小市民らしい夫を現しているな、と(笑)

ほんとに慎ましくて、贅沢をしない夫でした。

後で財布をみたら、お寿司屋とかシャトレーゼのポイントカードをチマチマと貯めていたり(笑)

 

ほんとにね。

何にも悪いこともしない、無害で善良な夫だったのに。

なんで癌になんかなったんだろう。

なんで夫だったんだろう。


あちらで、唐揚げ食べながら金麦飲んで、タバコ吸って、いっぱい笑ってよね。


市営斎場は、隣が火葬場でしたので、そのままお見送りをしました。

本当に、これでお別れ。



お骨になった夫と帰宅しました。

体があった時と、家の空気感が違いました。

何か、薄いというか。

ガランとした寂しさもあるのと同時に、家に満ちていた重さがなくなっていました。

やはり、その重さは、病気が持っていたものなのでしょう。


娘も、「寂しいけど、正直、ホッとした気持ちもあるかな」と。

もう、パパが苦しまなくてすむもんね。


「3人で頑張ろうね。よろしくね。」

というと、

「こちらこそ、よろしく!」 

と子ども達が答えてくれました。


何て心強いのでしょう。