いろいろと古典音律の種類を取り揃えてはみたものの,midiを聞くのにそんなに多くは聞けない。結局,平均律,純正律,ピタゴラス,ミーン・トーン,ヴェルクマイスター,キルンベルガーなどを切り替えて聞いてみた。

■バッハのオルガン曲,古典音律で聞くと高音部まで和音がすっきりと聞き取れるので,各声部がクリアーになったし,聞きやすくなったので,今まで感じていた威圧感がなくなった。

■ベートーベンのピアノ曲,あの「月光」がまさに月光。冬の晴れた夜の月のように冴えわたった感じに聞こえる。

一音一音がとても美しく聞こえる。こんないい曲だったのだと,改めて聴き入った。

■ピアノといったらショパン。幻想即興曲を聞いてみた。

これまた,とてもクリアーでそれぞれの音がよく響く。速いパッセージも濁ることなく,前の音の余韻の中に溶けていく感じがいい。ヴェルクマイスターではすこし華やか。キルンベルガーは落ち着いた響き。それぞれ味わいがあって面白い。


バッハの生まれる前にヴェルクマイスターは黒鍵の音が異名同音になるような調律法を考え出していた。それで,バッハがいわゆる「平均律ピアノ曲集」を書いたので,バッハの曲はヴェルクマイスターの音律で聞くのがいいのはわかる。でも,後年のショパンはどんな音律で調律したピアノを弾いていたのだろう。

まだ,モーツアルトを聴いていないので,どんな響きになるか楽しみだ。


バッハより少し年上のヘンデルはミーン・トーン愛好者だった(ミーン・トーンはすべての長3度が純正音程になる)というか,大陸ではヴェルクマイスターが知られていたが,イギリスにはまだ浸透していなかったらしい。

が,ミーン・トーンは黒鍵が異名異音(CisとDesは高さが異なる)になるので,ヘンデルは自分の書いた曲に登場する異名異音は黒鍵を2つに割ったチェンバロを作って演奏したそうだ。


ミーン・トーンといえば,W.A.モーツアルトの父のレオポルド・モーツアルトはバイオリンの先生だったが,彼のバイオリンはミーン・トーンの5度に調弦してあったという。つまり,ミーン・トーンに調律されたチェンバロから音を取って調弦したと思われる。

ここ数日取り組んできた「古典音律」がやっとなんとかわかる状態に達した。


何度,五度圏の円を描いて計算しただろう。単なる計算よりも,図に書くと互いの音程関係がとてもよくわかる。

慣れてくると,はじめには見えなかった3度の関係やシントニック・コンマの存在などが次々に見えてくるようになり,自分なりの音律まで考えるようになってきた。


今まで,「ウェル・テンペラメント」として大雑把なくくりで考えていたが,それぞれの時代に,その時の音楽の要請に対して効果的な音律が開発されていき,作曲家もその音律を生かした作品を作る。というようなことが分かってくると,前回も書いたが,本に書いてあるようなことを実際の音として聴いてみたい。


midiデータを使って古典音律を実現するソフトを探すと,「scale changer」というのがあり,midiデータを古典音律で再生したり,その状態をmidiで保存できる。シェアウエアで4750円。ウーン・・・・


なんとか別の方法はないか。いろいろとネットを探して,「scale tune」なるソフトを発見。なんと「scale changer」と同じ作者のフリーソフトで,音律を自由に設定できるmidiのシステムエクスクルーシブ (Sysex) が作れる。


使い方はそのソフトで作ったSysexをmidiに送信して,midiの音律を平均律から古典音律に変更し,その後その設定のままmidiファイルを再生すると古典音律での演奏が聴けるというわけだ。

「scale changer」のようにスライダーを動かしたり,ボタンを押したりして音律の設定が自動的にできる便利さはないが,設定ファイルを作って,それを読み込むことで,好きな音律が作れるので,それで十分。

早速ダウンロードして,設定ファイルを作ってみた。

それを使って,はたしてどう聞こえたか・・・・・・ 


この連休は,何回か読んだまま,わかったつもりだが,納得できていない本 平島達司「ゼロ・ビートの再発見」1983上下 をじっくり読み直してみた。

何度も読み返しているが,前回(10年前?)読んだときの書き込みをみながら,電卓,エクセルを動員して鉛筆片手に更に書き込む。

今回はもっと深く理解できて,ますます興味が深まった。

それにしても,この本を読むたびに,平均律以外の古典音律で調律したピアノやオルガンを鳴らしてみたいという想いになる。

YAMAHAから「ハーモニー ディレクター」なるキーボードが発売されていて,音律を自由に設定できるのだが,なにしろ高価(amazonで123,000円)。デジタルチューナーで,単音がでるものがあるが,古典音律は和音の美しさがポイントなので,これもだめ。

midiのデーターを入れると,古典音律(ヴェルクマイスターなど)で再生できるものがある。(4000円) これかな。


「ゼロ・ビートの再発見」は復刻版が出版されている。

古典音律を知りたい人にもう一冊おすすめの本がある。溝部国光「正しい音階」1971。後に2回再販され,私が持っているのは1984の第3版。

現在,手書きだった図などをコンピュータで書き直した新しい版で発売されている。

古典音律だけでなく,楽器編には和楽器も扱っている。


権太郎徒然帖   権太郎徒然帖